2006年06月25日

advice はどっち?

以前、学校英語教育を高く評価するような内容の記事も書きましたが、その反面、学校英語の限界を感じるときも少なくありません。

その典型的な例が、"should" と "had better" の違いです。

皆さん、アドバイスの時にはどちらを使いますか?

昨日この質問をした生徒さんは、"had better" の方が "should" よりも表現として柔らかそうなので、"had better" を使う、と答えました。
実際、読者の皆さんの多くも(すでに私のこの議論に付き合わされた方はともかく)同じように答えるのではないでしょうか。

しかし、これはとんでもない間違いなのです。

"should" はあくまでも理想を提示するときに使われるものであり、アドバイス的なニュアンスを持っています。
一方、"had better" だと「こうしないとまずいことがおこる」と言いたいときに用いられる表現であり、むしろ警告(warning)的な意味合いを持っています。"or else..."(さもないと...)という表現との組み合わせで使われることが多いので、そのように考えればイメージをつかみやすいでしょう。

"You'd better pay back every penny you owe by tomorrow, or else I'll be telling your husband about your gambling problem..."
チンピラが賭博の借金を取り立てようとしている場面が思い浮かびますでしょうか。

だから、ダイエット中の私が目の前の美味しいケーキを見て、
"I shouldn't eat this," と言った場合には、食べないことは「理想」に過ぎないので、結局食べてしまうでしょう。
でも "I'd better not eat this," と自分に言い聞かせた場合には、食べてしまった場合の悪影響が念頭にあるので、食べたいのを我慢するでしょう。

なぜこのような誤解が生じてしまうかというと、実は極めて簡単なことです。日本の学校では、すべて和訳して教えるため、
"should" → 「すべき」
"had better" →「した方が良い」
になってしまい、日本語を比較すると「すべき」の方が強いので、「ああ、should の方が強いのだなあ、ということになるのです。

最近、ネット上の掲示板で、日本の学校でもシチュエーションに即した、使える英語を一生懸命教えている熱心な先生がいることを知ったのですが、残念ながらその方は少数派に属しているように思えます。多くの先生は「どのような場面で使うか」までは考えず、「こういう訳だから」と字面を追うだけで終わってしまうのではないのでしょうか。
(確か英検1級か準1級の単語集にはこのふたつの表現の違いに注意を喚起する表記があったのですが、普通の参考書には載っていなかったような気がします)

英語は表現のツールなので、いつ、どのようなときに使うのか、という背景事情まで理解することが大事ですよね。

ところで、昨日 "should" の方が強いと思う、と答えた生徒さんですが、"had better" が非常に強い表現であるということを聞いて、相当ショックを受けていました。

「これって、上司に対しては使わない方が良いですよね?」と尋ねられたので、「まあ、そうでしょうね」(You probably shouldn't)と答えたところ、外資系に勤めている彼は、英語スピーカーの上司に毎日のように "had better" を連呼していた、どうしよう、と仰っていました。

今となってはもうその上司の方も理解してくださっているとは思うのですが、彼は「もう二度と使わない」と反省していました。

ここではじめて違いを知ったという方、英語でのアドバイスは "should" を使うべきであることを、くれぐれも忘れないで下さいね。
posted by EnglishMaster at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月23日

エアロビで英語??

友人に、「これ、君のブログの趣旨にぴったりだと思うから是非紹介してくれ!」と頼まれたのが、以下のリンクです。

http://www.collegehumor.com/movies/1695207/

でも、正直に申し上げまして、あまりにもぶっ飛んでいるためなんらコメントが思い浮かびません。
どなたか助けてください!
posted by EnglishMaster at 18:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月20日

Freakonomics

「常識」という言葉は英語に直すときに結構苦労するような気がします。
誰でも「知っているべき」ことであれば、common sense だろうし、誰もが「持っている知識」であれば、common knowledge でしょう。(もっとも、アメリカ英語ではあまりこの表現は使われていないみたいですが)
ある特定の分野に限定されているものであればsavvy が一番かもしれませんし。

でも、我々が「常識」という言葉を使うときには「誰もが真実だと思っていること」も含まれていますよね。この言葉にぴったり該当するのが、J.K.ガルブレイスが著書『豊かな社会』(The Affluent Society)で提唱した conventional wisdom だと思います。

"Freakonomics"はこの意味での「常識」に戦いを挑む本です。
(大分前に話題になった本なので、すでに日本語訳もでており、題名は『ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する』となっています)

テーマは多岐に渡っており、日本の大相撲の力士は八百長をしているのか?絶対八百長をしない力士は見分けられるのか?に始まり、親が一生懸命教育(本を読み聞かせたり、美術館に連れて行ったり)した子は優秀に育つのか?や親が子につける名前にはどのような経済的な影響があるのか?などの疑問に経済学の見地から答えるものです。

最も面白かったのは「出会い系サイトで成功するための法則」でした。私は男性と会うための出会い系サイトは利用していないのですが、個人的に教える生徒さんを見つけるためのサイトには登録してあり、メカニズムは似たようなものだからです。
写真が無いのは致命傷みたいですね。私も気に入った写真が無かったため、アップしていなかったのですが、これを読んで反省しました。(それに冷静に考えれば、それほど美人に写っていないほうが不純な動機の人をスクリーニングできるはずですよね)

大分本題から逸れてしまいましたが、本のメッセージとしては、「常識を徹底的に疑え!」と「因果関係(causality)と相関関係(correlation)を混同するな!」みたいなものでしょうか。
かなり説得力があります。

どこまで真に受けて良いのかは分かりませんが、エンターテインメントとしては最高でした。文体も口語体の非常にくだけたものであり、一気に読めてしまいます。教養がありながらもくだけた英語がどういうものか知りたい、という上級者にオススメですが(語彙や言い回しはかなり難しいものが多い)、上に紹介した問題に興味を持っておられる方でしたら意外とすらすら読めてしまうかもしれません。
ページ数も本文のみは204ページと決して長くない上、チャプターごとに完結しているので、「面白そうだな」と思えた方は是非!

freakonomics.jpg

posted by EnglishMaster at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月18日

「日銀総裁」は英語で何?

昨日の朝、NHKのラジオのニュースでアメリカの The Wall Street Journal と The New York Times で福井総裁の村上ファンドへの投資を問題視する記事が掲載された、という報道がありました。

毎日メールで送られてくるニュース一覧に載っておらず、人気トップ10に入るのにもマイナー過ぎていたためすっかり見落としていたのですが、昨日ではなく、15日付の記事だったのですね。

というわけで、無料でアクセスできるのは来週の木曜日までということであまり時間が無いのですが、恒例のチャレンジです。

記事のタイトルは "Japan's Top Banker Owned Stake in Scandal-Hit Fund" です。
"to own a stake in something" という表現は若干なじみがないかもしれませんが、福井総裁が村上ファンドという "scandal-hit fund" に「投資していた」ということを言い換えているだけです。"stake" には色々な意味があるので、興味がある方は是非辞書を引いてみてください。

記事はこちら↓からもアクセスできますが、
http://www.nytimes.com/2006/06/15/business/worldbusiness/15bank.html?_r=1&oref=slogin
読む前に以下のことを考えておけば、あるいは記事をプリントアウトしてこの解説を参照しながらであれば、スムーズに理解できると思います。

まず、福井さんの地位は「日銀総裁」ですが、これは英語でなんと言うのでしょう。これは記事の中で何度も繰り返し出てきますので、比較的簡単に分かると思います。

また、福井総裁が答弁を求められたのは参院予算委員会です。この記事の中では参議院であることを明言せずに、「議会の金融系委員会」という表現を用いています。

さて、この情報が明るみに出た(revelation; disclosure)結果、生じたのが "uproar" (大騒ぎ)です。

問題となっているのは、福井氏が日銀総裁になった後も投資した金額を引き上げなかったこと "held onto the investment" ですよね。また日銀としては福井総裁はなんら法律に違反していない、と言っています。

もっとも、福井総裁は10年も続いたデフレから日本経済を立ち直らせた立役者です。この記事では日本の経済成長が四半期(quarter)で3.1%に達したことにも触れられていますが、これが先進諸国(developed world)の中で高いほうなのか低い方なのかを分かっていれば、自ずと "robust" の意味にも予想がつくでしょう。

また、他国の中央銀行のリーダーとの比較もされています。"unflattering comparison" と言われるのは、株への直接投資が制限されている他国のトップバンカーに比べて、福井総裁が決して良く見えないことを指しています。

ここではアメリカのFRB前議長のグリーンスパン氏が例として挙げられており、氏が投資を短期国債と譲渡性預金に限定していたことを指摘しています。

さて、日銀の投資対象を取り締まっているのは法律ではなく、「内規」ですよね。ここでは "ethics guidelines"という表現をはじめ、いくつか異なる言い回しが用いられています。

そして、やはりアメリカの記事であるゆえ、このニュースで一時期騒然となった「永田町」を「日本の "Capitol Hill" と説明していますね。

あと、福井総裁自信のコメントを思い出しましょう。ここでは "I have created a fuss," という風に訳して紹介されています。

また、「福井総裁 大切な信用が傷ついた」という朝日新聞の社説も紹介されています。このパラグラフを読んで、なぜ一般国民が怒りを感じているのかがあまりよく分からなかった方は、是非、この元記事を参照してください。

福井氏が投資を引き上げたことについては、これもまた二つの異なる表現が用いられています。探してみましょう。
なお、ここで「急いで」という意味で用いられている "scurry" ですが、単なる "hurry" と比較して「こそこそと」というニュアンスが加わっています。

最後に、福井氏がなぜこのファンドに投資したかについて、村上氏が "activist fund" では誰も投資してくれない、と言っていたからだ、ということですが、"activist fund" が何であるかご存じない方は、会社に対して "rock the boat" (ものごとをかき回す、ゆさぶりをかける)するファンドとは一体どんなものなのかを考えればイメージがつかめると思います。
posted by EnglishMaster at 18:11| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月16日

つなぎの言葉

今日は趣向を変えて本文を英語で書いてみました。
気が付いたらやたらと口語的(colloquial)な表現が多くなってしまったため、明日あたりにフレーズ解説か日本語版を追加するつもりです。

どの表現が分かりにくかったか、コメントをいただければ参考にしますので、よろしくお願いします。

ちなみに、以下の文章はいつもの日本語の文に比べるとかなりくだけた感じのものになっています。

Very often, students who get stuck while conversing will revert to Japanese, filling in those uncomfortable silences with words like "eh-to", or even worse "nandakke".

I think most students who do this can't help themselves, and will say "eh-to" even when they're speaking to someone who is obviously foreign. But when students say 「あれは何て言うんだっけ」and give me this look, as if to say "You understand me, don't you?" I get the feeling that they expect me to cut them some slack because I'm fluent in Japanese too.

I usually put my foot down when this happens, though, and demand that the students repeat the question in English.

Unfortunately, although I've always cracked down on students using the 「なんて言うんだっけ」approach, I've usually looked the other way when it came to relatively minor slips like "eh-to".
Recently, I've come to the realization that this isn't doing anyone any favors.

If you're talking to an English speaker in English, it can be downright rude to lapse into Japanese. The reason: because whomever you're speaking to won't be able to understand you, and this will make them uncomfortable. For all they know, you could be muttering some sort of curse to bring bad luck down on them and their progeny. 

So, to make up for all those times that I didn't correct my students, I'd like to use this opportunity to suggest some alternatives. The next time you can't remember a word and feel compelled to say 「えーと」, try to use one of the following:

"Uh..." (In British English, this is spelled "Er...")
"Hmmm..."
"Well..."
"Let's see..."

Of these three, I don't really recommend using the first one; although it is the most popular, you won't sound very bright if you repeat it too often. Think President Bush. On the other hand, if you manage to stick to "well..." and "let's see..." with the occasional "hmmm...," you'll manage to sound thoughtful and competent.

These expressions only buy time, though. If you're searching for the perfect expression, and are unsatisfied with what you come up with, you can say, "How do I say this?" This will indicate to your partner that you would like to be corrected, because you are not sure with your choice of words.

Let me give you an example:

A: "So what did you think of Japan's losing to Australia the other day?"
B: "Well, it was...how do I say this? I was unhappy."
A: "Oh, do you mean to say that it was upsetting?"
B: "Upsetting?"
A: "That means..."

You get the idea.

Or, if you're simply looking for a single word, you can ask, "What do you call..."

A: "What do you call the...what you use in skiing to keep your balance?" (gesturing)
B: "Do you mean poles?"

If you find this difficult, you can simply start off with "What do you call..." and then gesture wildly.

Of course, it's perfectly all right to use Japanese words in English conversation, as long as you make a conscious decision to do so. Things like Japanese food and uniquely Japanese concepts are often untranslatable anyway, and words like "tofu", "edamame", "giri", and "kaizen" are already acknowledged as having entered the lexicon.
But remember, you must always be prepared to follow through with an explanation in English!
posted by EnglishMaster at 14:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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