2006年07月15日

The Uncountables

最近、発言していた掲示板で、「"You've Got A Mail" がおかしい英語であると言っても、そもそも mail が不可算であるのは歴史的偶然に過ぎないではないか」、という指摘を受けました。

ある意味歴史的偶然という要素もありうるとは思いますが、別にだからといって「分からない!分からなくて良い!」と投げ出してしまう必要はないと思います。

そこで今日は多くの人が苦労されているだろう、可算名詞(countable nouns)と不可算名詞(uncountable nouns)の区別について私なりの考えを述べて行きたいと思います。

そもそも不可算名詞がなぜ不可算であるかといえば、「数えられない」もしくは「数える意味が無い」からです。

ざっと以下のように分類できるでしょう。

1.「愛」(love)のように高度に抽象化された、とらえどころのない概念。「愛一つ」というよりは、「たくさん」「少ない」という量で量ることに意味があるものです。
ただし、「愛する人」「愛する対象」を意味するときには "one love, two loves" と数えることができます。
I'm not surprised that they broke up; she didn't have much love for him anyway.
She has two loves in her life: her cat and her piano.

2. 「水」(water)「コーヒー」(coffee)「米」(rice)のように具体性はあるが、数える意味が無い、もしくは様々な単位がありうる("a mouthful of coffee; a cup of coffee; a pot of coffee; a gallon of coffee")ために不可算であるとみなされるもの。
ただし、レストランなどに行った場合には出てくる水の単位が決まっているので、「お水一つ」(a water)「コーヒー一つ」(a coffee)と言うことができます。

食べ物の時の注意です。「丸々一個」を指すのでない限り、食べ物は大抵不可算になります。例えば "a chicken と言えば鶏が丸々一羽、ということになりますし、"a pizza" も丸い状態のピザ一枚です。
I roasted a chicken yesterday.
I had some chicken (two drumsticks) for lunch today.
I baked a cake yesterday.
I had some cake (a slice of cake) for dessert today.

3. 「家具」(furniture)「荷物」(luggage)など様々な大きさや形態のもの(下位概念)を含む上位概念ため、不可算の扱いを受けるもの。これが一番難しいかもしれません。日本語では「家具一つ」と言えるからです。

でも英語スピーカーにすれば、巨大なキングサイズ・ベッドと小さな椅子を並べて、「ほらどうだ、家具二つだ」と言うことには違和感を感じるのです。だからどうしても数えたいときには "three pieces of furniture; three pieces of luggage" のように、「『家具』という概念に属するものが三つ」のような表現をします。"mail" (郵便物)も同じです。絵葉書2枚と封書1通、小包1個を並べて、「ほら、同じようなものが4つ並んでいる」とネイティブ・スピーカーには言えないのです。
(ちなみに、"e-mail" なら countable です)

ここで問題になるのが、"vegetables" などの例外です。複数形で"s"が付くものは、この原則では不可算になるはずであっても、加算名詞の扱いを受けてしまうのです。これが歴史的偶然、と言えるのかもしれません。

ただ、様々な下位概念を統括する上位概念であれば、日本語では数えられても英語では数えられないことが多い、ということを覚えておいただけで、大分楽になると思います。


最後におまけで、加算である場合と、不可算である場合とで意味が異なる単語をいくつか紹介します。

work(仕事)/  a work(作品)
hair(髪・まとまった量の毛)/  a hair(毛一本・まばらな毛)
toast(トースト)/  a toast(乾杯の音頭)

他にも思いつく例がありましたら、是非コメントでリストに追加してください。お待ちしております m(_ _)m
posted by EnglishMaster at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 文法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月14日

お国柄

今私が教えている生徒さんのほとんどは日本人ですが、たまに他の国籍の人が混じると、面白いことになります。

母国語に応じて、間違え方が全然違うのです。

先週教えたブラジル人の方ですが、しきりに今度の夏休みにオーストラリアで "English curse" (curseは英語で「呪い」を意味する)を受けるつもりだと連発していたので一瞬度肝を抜かれてしまったのですが、なんてことはない、"English course" と言いたかったのですね。
間違いを指摘すると、ポルトガル語では "course" を意味する言葉が "curse" という発音なので混乱した、と言っていました。(調べたところ、どうやらポルトガル語では "curso" という言葉らしいです)

また、奥さんが日本駐在の間は仕事を休んで、優雅にショッピングを楽しんでいる、という話をしていたとき、"She enjoys shopping with other Brazilian workers esposas," と言っていました。ああ、これはまた発音の勘違いかな、と思った私は、"Do you mean 'spouse'?"(つまり、「配偶者」ということですか?)と聞き返し、"spouse" という言葉を教えたのですが、確かポルトガルと同じくラテン語から派生したイタリア語では "spoza" とは「配偶者」ではなく、「妻」を指していたような...
(オペラを繰り返し聴いているうちにちょっことだけ身に付いたイタリア語なのであまりあてにならないのですが)

でも、"workers' esposas" と聞いて、「ちょっと待って、"worker" だとあたかもブルーカラーの労働者のイメージでしょ?今の待遇を考えれば、「駐在員の妻たち」(expatriate wives)の方が適切だと思いますよ、と言ったらかなり気に入ってそのまま覚えてもらえたので、それほどダメージは大きくないかも知れません。

同じヨーロッパ系の言語であるゆえに、一見日本人学習者よりは楽そうなのですが、似て非なる言葉や文法にかなり惑わされてしまうみたいです。

もっとも、(これは『時制の数』で紹介したブラジル人の人も同じだったのですが)彼らはポルトガル語と英語で何か相違点があると、「なぜだ?」とすぐに聞いてきます。そして説明に納得すると、「つまりこういうことだね」と自分の言葉で言い換えないと気がすまないらしく、さらに「こういう表現はどうだ?」と自分で勝手に例文をいくつか作ってくれるので、教える側としてはものすごく楽です。そして、何か間違いを指摘すると「じゃあ、もう一回」と自分から言い出して、「あ、そう言えばこういう場合は?」とまた応用してみせる、という感じです。
この姿勢は是非、日本人の方にも見習ってもらいたいと思いますね。(もちろん、すでにこのような姿勢ができている方もたまに見かけますよ)

このような積極的な生徒さんに対しては、日ごろは「日本の学校では批判的思考能力というものを教えないのか」(Don't they teach critical thinking in Japanese schools?)とボヤいている先生も意気揚々と喜んで教えています。
決して「ここで質問したら失礼かもしれないから自分で調べよう」とは思わずに、質問や要望は積極的に述べていくべきです。先生から「こいつは違う」と一目置かれて、良いレッスンをしてもらえること間違いなしです。
posted by EnglishMaster at 00:38| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月07日

誰も使わない表現

大分時間が空いてしまいましたが、前回の続きのようなものです。

先日、同僚と話していたとき、彼はとある英和・和英辞典を非難して「あんなのは時代遅れな、ネイティブ・スピーカーなら誰も使わない表現だらけだ」と言っていました。

そのとき、私は思わず「待って」と言ってしまいました。「誰も使わないと言っても、あなたは世界中のネイティブ・スピーカー全員と会話して確認したわけではないでしょう?一人でも使う人がいれば『誰も使っていない』なんて言えないはずよ」

すると彼はさすがにそれで「しまった!」という顔をして、「いや、今のは口が滑っただけで、いつもはなるべく『僕は使わない』と言うようにしているよ」と決まりが悪そうに反論してきましたが、どうなんでしょうね。結構平気で「誰も使わない」と連発しているネイティブの先生は多いように思えます。

しかも説得力があるから恐ろしいですね。以前、生徒さんに「ずっと前に社内研修のネイティブの先生に今では誰も"delicious" という言葉は使わないから "tastes good" と言うべきだと言われたけど本当か」と聞かれて絶句した覚えがあります。

それは極端な例にせよ、少なくとも数学や論理学を多少なりともかじったことがある人ならば、絶対に「誰も使わない」とは言うべきではないと思います。

きっぱりと言いきれるのは、あくまでも
1.文法的に正しく、意味が伝わるかどうか
2.自分が使うかどうか
の2点に過ぎませんね。

たまに「これは正しいですか?」と「あなたは実際使っていますか?」という質問をしてくる方がいらっしゃいますが、このような方は意識的にか無意識的にか、きちんとそこらへんを弁えておられるような気がします。

だから、私は生徒さんに "I beg your pardon?" と聞き返されたり、"whom" を正しく用いた質問をされても「その表現は平均的なアメリカ人なら使いません」とわざわざ指摘するようなことはしません。文法的に間違っていませんし、正しく使えれば "How do you do?" 同様、(少なくとも教養のある相手であれば)好印象を与えることが出来るからです。

皆さんも、決して「誰も使わない」という表現には騙されないように、注意してくださいね。
posted by EnglishMaster at 22:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月30日

How do you do?

今日はじめて教えた方が、真っ先に "How do you do?" と挨拶されました。時々、このように挨拶される方がいらっしゃいますが、使わなくともこの表現を知っていて、正しく使うことができる方は実に多いですね。
もっとも、この表現を生徒さんがごく普通に使われる度に新鮮な驚きみたいなものをおぼえます。

なぜなら、少なくとも「平均的なアメリカ人」においては、そんな表現は死んでも使わない、という人が多く、挙句の果てには正しい返事の仕方さえ分からない人がほとんどだからです。(NZ人の同僚曰く、「そんな古臭い(antiquated)表現、誰も使わないよ」
(ネイティブが「誰も使わないよ」と言うと説得力がありますが、注意が必要です)

"How do you do?" は日本語にたとえるなら「ごきげんよう」ととても似た感覚ですね。一般庶民が使う言葉ではなく、また「ごきげんよう」→「ごきげんよう」と同じ表現で返さなければならない点も共通しています。("How do you do?" と尋ねられたら、"How do you do?" と返すべきです。念のため)

さて、なぜ『ごきげんよう』に該当する表現を初級者でも知っているのだろう、と首を捻っていたのですが、最近面白いことを知りました。
この表現は英検5級の教本にも紹介されているらしいのです。

ということは、皆さんが学生のときに用いた他の教科書や参考書にも載っているのでしょうね。

かといって、生徒さんに "How do you do?" と尋ねられても、一々それを訂正する気にもなりません。なぜなら、現にイギリス人や他国籍のノン・ネイティブはこの表現を正しく使っているのであり、正確に使えるに越したことはないからです。

ちなみに、多くの「ネイティブ」は死んでも使わないと言う、申し上げましたが、私が用いている中上級のレベル(TPOに応じた使い分けが重要視されてくる)のテキストにはちゃんと紹介されています。
このときばかりは、日本語禁止のルールを曲げて、使う場面は違うが(基本的には初めて合ったときしか使わない)『ごきげんよう』と似た感覚であることを説明します。そしてついでに、万が一誰かに言われたときには正しい返事ができるようにしておきます。

一体何を基準とすべきか、難しいと感じるときがありますね。
皆さんはどうでしょう。誰かに日本語を教えているときに「ごきげんよう」と挨拶されて、敢えてそれを直しますか?
posted by EnglishMaster at 23:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月25日

"L"と"R"と「ラリルレロ」Part III

LとRに関しては、熱心に研究されている方が多いらしく、「Rの時は少しブレている感じがする」や「Rの時は舌がフットボールを包み込むような形になるよう意識している」など、非常に参考になる意見をいただきました。
これは、各人工夫するのが一番ですね。自分の言葉で違いを語れるように頑張ってください。

そして、何よりも大事なのは、"write" という言葉を言うときなど、すでにRの発音がちゃんとできていることが多いということを信じることです。

とにかく練習あるのみ、なので、以前からLとRを用いたミニマルペアの練習編をもう少し充実させたいと思っていました。

以下、新リストです。

これらは実際に私がレッスンの中で生徒さんに聞き取ってもらえなかったか、または生徒さんがどちらを言いたいのかが分からず戸惑ってしまったものを中心に取り上げているので、ほとんどが同じ品詞のものとなっています。
ただし、面倒くさくなってしまったので、和訳は省略させていただきました。
(なお、n., v. のように二種類挙げているときには、より多く使われていると思う方が先になっています)

clouded (adj.) crowded (adj.)
load (n.) road (n.)
collect (v.) correct(v.)
allay (v.) array (n., v.)
glow (v., n.) grow (v.)
lent (v. 過去形) rent (n., v.)
bland (adj.) brand (n., v.)
laze (v.) raise (v.)
clap (v., n.) crap (n., v.)
play (v.) pray (v.)
loyalty (n.) royalty (n.)

なお、lentto lend の過去形ですが、"to lend" とは無償で貸与すること、"to rent" は対価をもらって貸与することを指し、似たような概念を扱うので特に注意が必要だと思います。
posted by EnglishMaster at 23:17| Comment(3) | TrackBack(1) | 発音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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