2005年11月29日

リズム感

先月、ラジオをつけたとき、たまたまNHK FMでゴスペラーズの黒沢薫さんがソロ・デビューのマキシ・シングルに載っている曲を紹介しているところでした。
そのうちの一曲がStevie Wonder"Ribbon in the Sky" のカバーだったのです。

歌はまあまあだと思ったのですが、ところどころ何となく歌の調子が間延びしていて、微妙にしっくりこないという感じがしました。
そしてなぜだろう、と考えた結果、それは黒沢さんの歌に英語特有のリズム感が欠けているためだ、ということに気づきました。

英語では強弱 (stress) が非常に大切な言語です。
二音節以上の単語であればその単語の中での stress 、つまりどの音節にアクセントが付くのかが重要ですし、文単位では一つ一つの言葉の重要度に応じて stress が異なります。すなわち、強い言葉と弱い言葉があり、この違いはかなりはっきりしているのです。

この強弱を全く意識しないで文章を読むと、いわゆる「棒読み」状態になり、聞いている側の眠気を誘うことになってしまうのです。
日本人で、あまりリスニングやスピーキングを練習していない場合には、どうしてもすべての言葉をまじめに、丁寧に発音してしまうため、「棒読み」になりがちです。(直すのはそんなに難しくありませんし、私自身必ず指摘しようと心がけているポイントの一つでもありますが)
そして失礼ながら、私の耳にはこの歌が所々ではあれ、「棒読み」ならぬ「棒歌い」(?)に聞こえてしまったのです。

実は、曲を作曲する人はちゃんとその言語の強弱が曲の強弱とぴったり合うように計算して作曲、または作詞しているのです。なので、逆にその曲が歌われている言語を正しく理解していれば、それだけである程度音楽的に歌えます。
これは英語のみならず、他のヨーロッパ言語においても同じです。

強弱について考えていたときに思い出したのが、大学オケでベートーヴェン作曲の『交響曲第9番』を練習していたときに副指揮者の先生から聞いた話です。
(これから年末にかけて、まさに『第9』シーズンですよねるんるん

さて、この『第9』、人気要因の一つが第4楽章の途中から入る歌ですが、独唱の冒頭を飾るバリトンソロが
"O Freunde, nicht diese Töne!"
(おお友よ、このような音ではだめなのだ!)

という一節です。

実は譜面を見ると、"Tö-ne" の二音節は F-F と同じ音になっているのですが、この二つの音を同じに歌っているソリストはまずいません。みんな一様に G-F と最初の音節を勝手に一音上げて歌っているのです。(CDを持っている人は是非確認してみてください)
その先生によると、"Töne" という言葉においては最初の音節が二つ目の音節に比べて圧倒的に強いため、正しいドイツ語の発音を知っていれば譜面上何も書いていなくても自然に最初の音節を一音上げたくなる、ということでした。そして、漫然とみんなが一音上げているからそういうものなのか、という考えの下でそれを真似しても決して伝わらない、と仰っていました。

だから、声楽を勉強する人は一生懸命イタリア語やドイツ語、フランス語やロシア語を勉強します。
ポピュラー歌手であっても、英語の曲を歌うのであれば(特に Stevie Wonder のような大御所の歌であれば)、やっぱりちゃんと英語の勉強をして正しい発音を身につけた上で歌わなければ勿体無いと思いません?
posted by EnglishMaster at 15:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 発音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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