もう揚げ足を取るために字幕をチェックするのは辞めたつもりだったのですが、せっかく高いお金を払ってDVDをレンタルしている以上、一回だけ見るのは勿体無いというケチな根性が働いてしまい、もう一回みるとなると字幕が気になる、ということになってしまうのです。
出典はシーズン4の第一話です。
最初の方で、ジャックがホテルの部屋で身支度を整えながら新しい彼女のオードリーと話をしているとき、彼女は彼に向かって
"I'm falling in love with you."
と告白します。
そして、同じエピソードのその20分後ぐらいに、今度は電話をしているときにジャックの方からオードリーに向かって
"I'm falling in love with you too."
と言います。
ということは、当然字幕もこの二つの台詞を同じく訳しているのだろう、と思ったのですが、全然違いました
最初の台詞は「あなたに夢中よ」
ジャックの返答は「俺も君を愛してる」
まず、最低限でもここで同じ訳を使わないのはまずいと思いません?
二人が全く同じ言葉で想いを語っていることが全然伝わらなくなってしまいます。
さらに問題なのが、"falling in love" を「愛している」にしてしまっている点です。
"fall in love" とは読んで字の如し、「恋に落ちる」という意味です。しかも「恋している」"to be in love" まではまだ行きついていません。恋に「落ちつつある」という進行形のニュアンスと、自分ではコントロールできないという不可抗力的な要素が非常に大切です。
そして、一歩譲って進行形を捨てたとしても、誰かに「恋をする」"to be in love" と「愛する」"to love" では全然事情が違います!
前者は相手に夢中になっている状態で、相手も周りもよく見えていないことが多いです。"Love is blind" (恋は盲目)とよく言いますよね。
後者は相手を欠点も含めて全面的に受け入れる状態ではないのでしょうか。この場合には目はしっかりと開かれていることが多いです。
もちろん理想は相手を愛すると同時に恋すること。60代のおばあちゃんが "I'm still in love with my husband," とのろけるのを聞いたりすると、結構羨ましくなったりします。
しかし一方では、愛しているけど、恋はしていないという状態もありえます。
またこれとは反対に、恋はしているけど、愛してはいないという場合も想像することができます。
要するに、この二つは決して混同すべきではないと思うのです。なので、最初の「あなたに夢中よ」はさておき、「君を愛している」は間違っている、としか言いようがありません。
この回の字幕を担当した方は恋愛経験が乏しいのではないか、とさえ疑ってしまいます。
結論として、"I'm falling in love with you." は「あなたに本気で恋をしちゃっているみたい」のような不可抗力を強調するような要素を入れれば上手く伝わるのではないか、と思います。男性からの場合「君に本気で恋をしてしまったみたいだ」という程度にひねれば、二人とも同じ言葉を使っていることがちゃんと伝わるのではないでしょうか
ただし、これでは長さの問題もあります。やっぱり「君に夢中だ」あたりで統一してまとめるのが無難な路線になるのでしょうね。


