2005年11月15日

Does it suit?

この間、同僚にプライベート・レッスン用に、と薦められたテキストをの内容を確認するため、三省堂の神田本店に行って来ました。

最初、語学学習関係の本が並んでいる三階にあるのかと思い、そちらに向かったのですが、三階においてあるのは日本語で書かれている教科書や参考書だけでした。

探していたのは英語だけで書かれたテキストでしたが、せっかくこんなにたくさんあるのだからちょっと見てみよう、と思い、いくつかの本に手を伸ばしてみました。

まず、結論から言うと、日本語で解説してあるテキストはなるべく使わない方が良いです。
理由は、例文に不自然なものがあまりにも多いからです。失恋

一つだけ例を取り上げます。
日本語で解説してあり対訳が付いていた英会話の入門書みたいな本に、買い物をしている二人の女性の会話が載っていました。

「試着してみても良いですか」
などのありきたりな会話の最後で、片方の女性がドレスを試着した友達に向かって "That suits you!" と言っていました。

これが間違いである、とまでは言えませんが、少々不自然で、日本語の「それ、似合うよ!」を英訳したことが見え見えであることは確かです。

まず、第一に、この例文を書いた人は指示語 (this, that, these, those) の役割が分かっていません。
指示語は読んで字のごとく、対象を指し示すものです。
すなわち、指で指す必要がある場合や他と区別する必要がある場合ならいざしらず(例えば "I didn't really like the other dress, but that one suits you!")、一つしかドレスを試着していないのであれば代名詞 "it" で十分です。
なぜなら、"it" は抽象的なものではなく、具体的なものを示す代名詞であり、"it" を使った時点で対象が確定(ここでは "the dress" )しているからです。

なので、ここでは少なくとも "It suits you!" と言うべきでしょう。

さらに、「似合う」と相手を褒めるときに "suit" という動詞を使うべきか、ちょっと疑問に感じます。確かにもし、"It suits you!" を日本語に直すなら「それ、似合うよ!」になりますが、逆は必ずしも真ならず。"suit" がこのシチュエーションにおいて最も適切な表現であるとは言い難いのです。
"suit" は "suitable" (適切な)の語源になっている言葉です。英英辞典で調べるとこのような用法においては(to be appropriate, acceptable or satisfactory) と定義されています。つまり「適切」で「条件に適合」して、「満足の行く」という程度の意味しか持たないのです。

で、友達と買い物をして、「それ、似合うよ!」と褒める場合、決して「それなら適切だと思うよ」という生ぬるい (tepid; lukewarm) 意味で言っている訳ではありませんよね。
「似合うよ」という言葉の背後には「とても素敵だから買うべきだと思うよ」という積極的な感情があるはずです。
英語スピーカーならむしろ、「似合うよ」という代わりにこの背後にある感情をストレートに言葉にする傾向があります。

例えば
It looks great on you!
It's perfect! (ぴったりだよ)
It looks fantastic!

などが思いつきます。

土曜日に仕事の後オーストラリア人の同僚と買い物に行きましたが、私がデパートでふと目に留まったネックレスをつけたみたときの彼女の言葉は "It's gorgeous, and it looks really sexy. You have to buy it!" でした。そのネックレスはもちろん買ってしまったのですが、ここでもし "It suits you." としか言われなければ「なんだ、その程度か」と思って買わなかったかもしれません。


必ずしもこのように具体的にどこがおかしいかを指摘できるわけではなかったのですが、三階にあった日本語で書かれた英語・英会話の教科書に載っている例文は多かれ少なかれこのような不自然さを感じさせる傾向がありました。
なので、どうせ買うのであれば同店では五階の洋書コーナーにおいてある、英語だけで書かれた教科書や解説書(対訳付きもあります)の方がはるかに良いと思います。

具体的にどれがオススメであるかはまた次回にるんるん
posted by EnglishMaster at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめて、コメントします。
自分の意見をあまり押し付けたくないときにはsuits you..でいいと思います。実際にオーストラリア人やイングランド人の友人たちがそのようにコメントするのを小さいころから聞いています。
試着している二人の関係やその時の状況によるから、必ず時も「日本的」ではないと思いますよ。ここ10年で、日本的なのかそうでないのかって境目が無くなってきた・・というのが正直な感想です。
たとえば「アイスティ」を日本語のメニューでIce teaと書かれていた昭和時代、英語を母国語とする人たちが間違いだと、指摘していました。しかし、海外に住んでいて気づいたのは英語圏でも普通にIced teaではなく、Ice teaと表記されている場合も増えてきました。


友人や店員さんが上のようにIt looks great on you! It's perfect!とほめると、適当に答えている、または押し付けがましく聞こえてしまう人もいると思うのですが・・・言葉の受けとりかたって、その人の性格、世代や育った環境にもよるような気がします。(特に21世紀になり、あちこちへ人々が引越し、働くようになり日本語だけでなく、中国語や英語自体、大きく変わってきてると思います)
Posted by 茶子 at 2017年07月21日 10:43
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