2005年11月13日

It might go off. (字幕 其の参)

金曜の夜、久しぶりに字幕で間違いを発見しました。
しかも二つも揺れるハート

出典はテレビシリーズ 『24』シーズン3の第17話(05:00-06:00)です。
誤訳は本編そのものではなく、DVDの特典として付いていた、出演俳優と脚本家によるコメンタリーにありました。
(本編には原則としてほとんど誤訳と言えるほどの間違いがありません。字幕翻訳者が脚本を参考にできるからではないか、と思います。コメンタリーは翻訳者が耳に頼るしかなかったため、生じてしまったのでしょうか)

さて、コメンタリーを行っていたのはこの回の共同脚本を担当したロバート・コクラン (Robert Cochran)、そして捜査官として出演しているカルロス・ベルナード (Carlos Bernard) とレイコ・エイルスワース ( Reiko Aylesworth) の二人の俳優さんでした。

まず、分かりやすい方の間違いから。

MI6のロサンゼルス局にて、犯人について重要な情報が記録されているハードディスクを持ち出すために主役のジャックがそれをサーバ群から外そうとしているとき、コンピュータ室に仕掛けられた爆弾を発見します。そのときのコメント:

Reiko: "What's great about this show [is that] you actually think: It might happen. It might go off."
Robert: "And it does go off."

"go off" とは端的には「作動する」、という意味で、爆弾であれば「爆発する」という意味です。(もう少し穏やかな用法では、例えば警報や目覚まし時計が「鳴る」という使い方もありますが)

なので、正しい訳の一例としては:

レイコ:視聴者は"本当に爆発するかも"と思うわ
ロバート:そして実際に爆発する

対する字幕は
レイコ:視聴者は"爆弾は外せる"と思うわね
ロバート:実際外せる

???
"Off" という言葉に惑わされたのかもしれませんが、爆弾とハードディスクを混同してしまっているとしか思えないですね。

ちなみに、昨日レッスンでこの話をしたところ、その生徒さんはちゃんと "go off" を正しく理解しており、誤訳を聞いて笑っていました。


もう一つの間違いは、ウィルスに感染して死にかけている同僚を演じていた共演者の演技についてレイコがコメントしているものでした。

Reiko: "He had this glassed-over, faraway look in his eyes."

"glassed-over" とは直訳すれば「膜がかかった」、つまり「とろんとした」「ぼんやりとした」という意味があります。似たような表現で"glassy-eyed" があり、両方とも酔っぱらった人、または高熱に浮かされている人を形容するために用いられています。

なので、正しくは

レイコ:彼の目はぼんやりと遠くを見つめていて

となるのでしょうか。

字幕は、というと

レイコ:彼の目はガラスのように澄んでいて

になっていました。"glass" に引っかかってしまったのでしょうが、これでは意味がまるで逆になってしまいますよね。

B0002U8NOI.09.THUMBZZZ.jpg旧ブログと併せると字幕字幕其の弐に続いて字幕について書くのが三度目になるため、「字幕 其の参」という副題をつけました。
posted by EnglishMaster at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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