2005年10月24日

Cascade

昨日、父に「招待券があるから」と誘われて久しぶりにコンサートに行きました。
日本ではまだあまり知られていない Budapest Festival Orchestra という若いオーケストラでしたが、期待以上の素晴らしい演奏で、すっかりファンになってしまいました。

長くなってしまうので演奏会の感想はここまで。
本題はコンサートの前に父に昼食をご馳走してもらったときの会話です。場所は全日空ホテルの3階のロビーを見下ろすレストラン。

窓から階下を眺めながら父が「下にカフェが見えるだろう?あそこはカスケード・カフェといって、本当はあそこにしたかったんだけどもう予約でいっぱいだったんだ」と言いました。

ロビーの隅に高いガラスの壁があり、そこを水が流れ落ちる仕掛けになっていることに気づいていた私は「あそこに滝みたいなものを作ったから "Cascade" という名前がついているのね」とコメントしたのですが、それに対する父の返事は「ところで cascade って何なんだ」

人の話を聞いているのか聞いていないのだか。

ビジネス英語には強い父でもさすがにこういう分野では知らない単語が多いんだろうな、と思いながら「Cascade は滝だよ」と教えてあげました。

「それって fall じゃないのか」

「うん。Waterfallcascade も『滝』を指すよ」

「じゃあ、fallcascade はどう違うんだ」

Fall の方が一般的で、cascade はどちらかというと長くて細い、段々になっているような特殊な滝を意味するね」

「でも cascade は動詞にもなるだろう?動詞だとどういう意味なんだ」

瞬時にイメージしてしまったのはウェストからふわっと流れるウェディングドレスと核兵器用のウランの精製に用いられるサイクロトロン。
(とある小説で読んだ、このプロセスではサイクロトロンを縦一列につないで、最初のサイクロトロンで純度が高まったのを次のサイクロトロンでさらに純度を高めていくため cascade と呼ばれている、という話を思い出したのです)

とりあえず前者に当たりをつけて「まあ、滝のように流れる、という感じかな」と返事をすると、父が怪訝な顔をして「いや、今社外取締役をやっている会社でよく『指令をカスケードする』と言うんだけど、どういうことだ」と言ってきました。

ああ、サイクロトロンのイメージの方が合っていたな、と反省しながら、「それなら階段状になっている滝のように指令を上から段階的に下の方へ落としていく、ということじゃない?」と言うと、父は「ああ、なるほどね。文脈からそんな感じだろうと思っていたけど、なんせ辞書を引くのが面倒くさくてね」と納得したみたいでした。
さらに「cascade はよくこういう意味で使われるのか」と聞かれたので、「いや、あまり聞かないけど」というと「だろうな。日産でも使っているらしいけど、あそこのゴーン会長はネイティブ・スピーカーではないだろう」と満足げにうなずいたのです。

今では英語をしゃべる人のうち、非ネイティブの方がネイティブより圧倒的に多い上、ネイティブが必ずしも正しいとは限らない、と反論しようかとも思いましたが、やめておきました。

ところで、さっき愛用の Merriam-Webster Unabridged を調べたところ、cascade を他動詞として使う場合には「(特に製造プロセスにおいて)段階的に行うこと」と書いてあったので、メーカーでは案外多用されているのかもしれませんね。
まだまだ知らないことが多いな、と反省させられました。

ちなみに前記のMWUには語源がフランス語とイタリア語、と書いてあったため、念のために仏和辞典も調べてみたのですが、フランス語の cascader は単純に「滝となって落ちる」という意味しか無いみたいです。
posted by EnglishMaster at 23:13| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
http://forum.wordreference.com/showthread.php?t=1968249

ちなみにご趣味の字幕の間違いさがし、日本語の音の長さと英語のそれを一致させる作業工程があるので、逐語訳にしきれない点がある場合があります。
Posted by 通りすがり at 2014年07月20日 17:24
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