2007年06月14日

Corruption

新しい職場の同僚で、最も良く会話を交わしているのはイギリス人の方々です。
そのせいか、たった数日間で自分が話す英語にも確実に微妙な変化が起きてしまっています。
(もともと感化されやすいだけなのかもしれませんが)

それを実感したのが、"t" の発音です。

アメリカ英語だと、"t" 音をはっきり発音しないことが多いのです。

特に母音と母音の間に "t" が挟まれている場合など、舌を完全に持ち上げるのが面倒くさいのか、"t" が訛って日本語の「ラ行」に極めて近い音に変化したりします。
(あとは、"want to" が "wanna" に変化するときのように、完全に抜けてしまうパターンもありますよね)

トーマス・フリードマン著の "The World is Flat" (邦題『フラット化する世界』)で、インド人がアメリカ訛りを身につけるために奮闘している様子が紹介されていましたが、この "t" の訛り具合が彼らにとって最も難しい課題の一つみたいです。

身近にアメリカ人かカナダ人の方がいらしたら、今度是非上記の本で例として紹介されている "Betty bought a bit of better butter." とでも言ってもらってください。どういうことか良く分かると思います。

ところが、イギリス人は、(インド人もそうですが)いつでも"t" の音を明瞭に発音します。母音に挟まれようが、言葉の最後に来ようが、です。だからこそ、多くの日本人が「イギリス英語の方が聞き取りやすい」と感じるのかもしれません。
上記の文章をイギリス人にも読んでもらう機会があり、聞き比べることができれば、とても楽しいですよ。

そして、昨日、"two point eight billion" という数字を読み上げているときに、私もいつの間にか "t" をなるべく丁寧に発音するようになっていることに気付き、一瞬びっくりしてしまいました。
(教えていたときには、例えば聞き取りに苦労している初級者相手には意識してやっていたことを、全く無意識にやるようになっていたからです)

しかし、これは果たして悪いことなのか、ということを考えると、必ずしもそうとは言えないと思います。

なぜなら、「美しい英語」の一つの基準は「分かりやすさ」であるからです。

現に私の母は、「私は教養のあるエレガントな英語なら理解できるけど、品位に欠けた英語は理解できない。だから、私が理解できないような話し方しかできない人の話なら、理解できなくても良い」と豪語していました。
(これは極端ですが、ある意味正論でもあります)


今の仕事で私の価値を高めているのは「英語ネイティブらしさ」よりもむしろ「日本人らしさ」です。
とすれば、「よりナチュラル」な英語を話すことよりも、「より明瞭な」「より美しい」英語を話すことの方が、はるかに重要なのではないでしょうか。

ただ、アメリカ人相手の時だけは、変にかっこつけていると思われないために気をつけなければならないかも知れません。

FlatWorld.jpg    flatworldj.jpg
posted by EnglishMaster at 23:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 発音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先生、新しい職場で、さっそく大活躍されているようですね。嬉しいです。先生はとてつもない才能と能力を持っていらっしゃいます。
新しい職場の同僚の方々や上司にも恵まれているようですね。
英会話学校の多くの講師の方々(Nativeですかね)はどちらかというと講師以外の職員(上の立場のスタッフ)に対し、上司と認めたくない傾向が強いと感じますが、先生のような社会人としても立派に働いている方は、そういう上のスタッフに対して上司と認めることができるのですね。もちろんそれらの上司よりも先生の方がはるかに仕事ができるのは誰もがわかることですが。
僕もアメリカで英語を身につけた為、アメリカ英語に慣れています。僕の感想を言わせて頂きますと、たしかに英国の方々の英語は一つ一つの単語を綴りに忠実に発音していると思いますが、はっきり口を開けて話されていないことが多い為、慣れるには少し時間がかかるかなと思いました。
でも、"t"等がラ行っぽくなったり、聞こえない等はやはり初心者にとっては最も辛い部分でしょうね。
Posted by ニコ at 2007年06月17日 23:00
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