2007年02月11日

Misinterpretation

2週間前、とある本の一節を生徒さんと一緒に読み、解説していたところ、「誤読ばっかりですね」とかなり落ち込まれたご様子でした。

でも考えてみれば、私も決して誤読と無縁な訳ではありません。

最近、以前に何度も再読している本を読み直しながら、1箇所解釈が誤っていたことに気付きました。

ちなみに、その本はディック・フランシス著の "Break In" という小説です。

breakin.jpg

この著者、元は騎手であり、落馬して馬に乗れなくなってからスポーツ紙の記者を経て小説家になった方で、著書は多かれ少なかれ競馬と縁があるストーリー展開になっています。

テンポが良く、程よい緊張感が漂う、非常に面白い話ばかりなのですが、スラングや口語表現が多いのが学習者にはネックになってしまうかもしれません。毎週定期的に教えている生徒さんに競馬好きな人がいたため、フランシスの小説をクリスマス・プレゼントにしてあげようと思ったのですが、客観的な目で見たらとても初級者に理解できるものではありません。幸い、やや古い(発表年からすると)本でしたが、Oxford Reader版があったため、そちらにしました。

さて、誤読箇所に話を戻すと、それは以下のようなパッセージでした。

"Still, we tried hard, finished third, and seemed to give moderate pleasure to owners and trainer. Bread and butter for me; expenses covered for them."

これを最初に読んだとき、疑問に思ったものです。
なぜなら、"them" がてっきり "bread and butter" を指しているのかと思い、「パンとバターを食べ、それは経費でまかなわれた」と解釈したからです。
しかし、騎手として常にダイエットをしていなければならない主人公は、トーストにバターさえ塗らない、という話も後に出てきます。一体これはどういうことだろう、と。

それが、最近読み返したとき、謎が解けました。

"Bread and butter" とは「生活の糧」を意味していたのであり、"them" は "owners and trainer" を指していたのです。
つまり、「頑張って3着になり、馬主と調教師を多少なりとも喜ばせることが出来たようだった。私は生活の糧を得、彼らは経費の元が取れたのだ」という意味だったのですね。

一旦分かってしまうと、「どうしてあんな誤解をしていたのだろう」と思うのですが、誤読とはそういうものかも知れませんね。おかしいと思いながら、いくらあがいても良く分からないのに、一旦分かってしまえばなぜ分からなかったのかさえ分からなくなってくるので、不思議なものです。

大事なのは、論理的に辻褄が合わないときに「そういうものだ」と割り切ってしまわずに、「解釈が間違っているのだろうか」と疑う気持ちかもしれませんね。
posted by EnglishMaster at 22:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
誤読はどうしてもあるでしょうね。英語を余程マスターしている人なら、少しでも引っかかるところも追究するでしょうけど、そこまでのレベルでない大半の人々にとっては、それをしようとするときりがないかもしれませんね。
先生は一冊の本を何度も繰り返し読むことは珍しくないようですね。多忙な方なのに、相当なスピードで読むのでしょうね。
Posted by ニコ at 2007年02月11日 23:23
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