具合が悪そうね、という同僚の心配に対して、女性が「頭が痛い」と訴える会話の聞き取りをしていました。
一通り聞いた後、「それで、彼女はどこが具合が悪いのですか?」と聞くと、生徒さんの答えは、
"She has a long headache."
でした。
そのような答えを聞くのは初めてだったため、"long headache" とは一体どんな頭痛なのだろう、と一瞬考え込んでしまいました。
実は彼が言いたかったのは "wrong headache" であり、"bad headache" の "bad" をいったん日本語に直して、また英語に直したため、奇妙な言い回しになってしまったのであることに気づくのに、丸々1秒はかかったような気がします。
「今、日本語で考えていたでしょう」というと、彼はドキッとした顔をしたのですが、一々日本語に変換して考えているのか、それとも限定された範囲であっても英語を英語のまま処理できているのかどうかは、結構簡単に分かるものです。
そしてこのような現象は何も初級レベルに限られているわけではありません。
確かその数日前には、レベル6の生徒さんが「"regular theater" では見ることができないような外国映画や古典映画が好きだ」、という台詞を聞き取った際、「彼は"normal theater" では見ることができないような映画が好きです」と答えるのを聞いて、これもまた一瞬止まってしまいました。"abnormal theater" というとんでもない代物を連想してしまいましたから。
思うに、学校英語の段階でまじめに勉強した人ほど、この「一々日本語に直す」、という作業から抜けだすことができないことが多いですね。
この状態から脱皮できなくても、実はある程度はやっていけます。現に後者のレベル6の生徒さんは様々なトピックにつき、かなり流暢に話すことができていました。頭の回転が速いのでしょう。
でもこの癖が抜けないと、新しいフレーズを解説してもらわないと覚えられなかったり、何が自然なコロケーション(連語)になるのかという感覚をなかなか身につけることができなかったりします。そして、これは一旦ある程度高いレベルまで到達してしまえばしまうほど、矯正するのは難しいみたいです。
そのレベル6の生徒さんを先日、また教えたのですが、まじめな彼は教科書に進出単語の日本語の対訳をびっしり書き込んでいました。本当はどうせなら英英辞書で調べておいて欲しかったのですが、「英語で説明できますか?」と聞かれてもちゃんと理解できていたようだったので、まあ今更目くじらを立てることもないかな、と思いました。
(多岐なトピックスに渡って雑談をしながらレッスンを進めている状態なので、そこで自然に英語だけで理解する場面も増えてくると思います)
問題はレベル1の方。今からならまだ比較的容易に英語脳を作れる状態のはずです。ちゃんとアドバイス通りに復習してくれると良いのですが...

<まじめ>を除けば、僕もそうですね(笑)。
僕は生徒さんにいつも言うことは、ある程度いい加減な気持ちで英語にのめりこむことが習熟度を高めるうえで大切ですよという点です。単語を覚えるという作業に関しても70%覚えていればOK、という気持ちです。一番まずいのが、真面目過ぎて、100%覚えていないと先に進めないという人は、70%でいいと考え、どんどん先に進んでいく人よりも結果覚えている単語量に差が出てきます。30%の忘れた単語も、英語により多く触れていれば、まためぐり合う機会が出てくるものもあります。そういった単語は2度目だと更に覚えやすくなります。もう出てこない単語は、日常においてほとんど知らなくてもいい単語と判断していいと思います。
ということはやっぱり相当頭の回転が速いのでしょう。
一々日本語に訳していながらでもついていけてしまったため、逆に英語だけで考える習慣を身につける必然性が無かったのかもしれません。
それはそれですごい、と思いますよ。