母国語に応じて、間違え方が全然違うのです。
先週教えたブラジル人の方ですが、しきりに今度の夏休みにオーストラリアで "English curse" (curseは英語で「呪い」を意味する)を受けるつもりだと連発していたので一瞬度肝を抜かれてしまったのですが、なんてことはない、"English course" と言いたかったのですね。
間違いを指摘すると、ポルトガル語では "course" を意味する言葉が "curse" という発音なので混乱した、と言っていました。(調べたところ、どうやらポルトガル語では "curso" という言葉らしいです)
また、奥さんが日本駐在の間は仕事を休んで、優雅にショッピングを楽しんでいる、という話をしていたとき、"She enjoys shopping with other Brazilian workers esposas," と言っていました。ああ、これはまた発音の勘違いかな、と思った私は、"Do you mean 'spouse'?"(つまり、「配偶者」ということですか?)と聞き返し、"spouse" という言葉を教えたのですが、確かポルトガルと同じくラテン語から派生したイタリア語では "spoza" とは「配偶者」ではなく、「妻」を指していたような...
(オペラを繰り返し聴いているうちにちょっことだけ身に付いたイタリア語なのであまりあてにならないのですが)
でも、"workers' esposas" と聞いて、「ちょっと待って、"worker" だとあたかもブルーカラーの労働者のイメージでしょ?今の待遇を考えれば、「駐在員の妻たち」(expatriate wives)の方が適切だと思いますよ、と言ったらかなり気に入ってそのまま覚えてもらえたので、それほどダメージは大きくないかも知れません。
同じヨーロッパ系の言語であるゆえに、一見日本人学習者よりは楽そうなのですが、似て非なる言葉や文法にかなり惑わされてしまうみたいです。
もっとも、(これは『時制の数』で紹介したブラジル人の人も同じだったのですが)彼らはポルトガル語と英語で何か相違点があると、「なぜだ?」とすぐに聞いてきます。そして説明に納得すると、「つまりこういうことだね」と自分の言葉で言い換えないと気がすまないらしく、さらに「こういう表現はどうだ?」と自分で勝手に例文をいくつか作ってくれるので、教える側としてはものすごく楽です。そして、何か間違いを指摘すると「じゃあ、もう一回」と自分から言い出して、「あ、そう言えばこういう場合は?」とまた応用してみせる、という感じです。
この姿勢は是非、日本人の方にも見習ってもらいたいと思いますね。(もちろん、すでにこのような姿勢ができている方もたまに見かけますよ)
このような積極的な生徒さんに対しては、日ごろは「日本の学校では批判的思考能力というものを教えないのか」(Don't they teach critical thinking in Japanese schools?)とボヤいている先生も意気揚々と喜んで教えています。
決して「ここで質問したら失礼かもしれないから自分で調べよう」とは思わずに、質問や要望は積極的に述べていくべきです。先生から「こいつは違う」と一目置かれて、良いレッスンをしてもらえること間違いなしです。



ちなみにsposaは花嫁、新婦。妻はmoglieです。
ご指摘ありがとうございます。
そういえば、イタリア語も勉強されていたんですよね。
ところで、『フィガロの結婚』の終幕で、伯爵が自分の奥さんが下男と逢引していると勘違いして怒る場面では La mia sposa! と言います。
なぜなのでしょう。
あと、さすがラテン系!というのは言えていると思います。
前置詞のイメージを確認していたとき、「君に花束をあげるなら、"for you" なのか、それとも "to you" なのか」と聞いてきました。日本人男性にはなかなか思い浮かばない発想ですよね。
オペラはまったくわかりませんが、伯爵は新婚ほやほやだったのかな?
ちなみに、伯爵夫妻はアツアツだった新婚時代(これはロッシーニのオペラ『セビリアの理髪師』の話)から何年も経ち、完全に夫婦仲が冷め切っている、という設定です (^^;
それはわかります。渡す場合は"for you"なのですね。 夫婦仲が冷め切っていたように見えて実はお互いにまだ好きだった、だから下男にわざわざ「私の嫁だ!」と言った・・・。(サスペンスの見すぎ)