時々宣伝で「ひたすら聞き流すだけでしゃべれるようになる」といったものを見かけますが、それも同じ教材を丸暗記してしまうまで繰り返して聞くという前提の下であれば一理あると思います。
もちろん、個人差もあるでしょう。
一回だけで覚える人もいれば数回続れば覚える人もいますし、10回ぐらいかけてやっと覚える人もいます。
レッスンで何か構文を練習しているときも、相手が何回ぐらい練習すればあまり考えずにすらすらとその構文を使えるようになるのかを考慮しながらひたすら繰り返しをしなければなりません。
さて、このあまり考えずにすらすらと、という目標ががポイントです。一つ一つ言葉を考えながらできるからいいや、で終わりにするのではなく、流暢にその構文を使えるようになるまで辛抱強く叩き込む、という作業がとても大事なのです。
もっとも、本当に何も考えずにで言葉を操ることがきてしまうと面白い事態が起きたりします。
先日、間接話法(reported speech)の単元を教えていたときのことです。
何か単純な質問をした後、一々 "What did I ask you?" と聞き返し、"You asked me...." と間接話法で言い直してもらっていたのですが、練習の途中でふと、確かこの人には名刺をまだ渡していなかったな、と思い出したのです。そこで、いきなり
"Did I give you my business card?" と聞いたところ、何と生徒さんは反射的に
"You asked me if you gave me your business card," と答えたのです。
直接目的語と間接目的語があり、代名詞と所有格が入り混じっている複雑な質問を見事一発で完璧に間接話法に直したので、すごい、と喜んでしまったのですが、"That's perfect! I'm very impressed. But did I really give you my business card?" ともう一度聞き返すと、きょとんとした顔をされてしまいました。どうやら言葉を操作するので精一杯で、意味までは考えていなかったみたいです。
そのときはやれやれ、と内心頭を抱えてしまったのですが、よく考えるとこれぞ逐語訳を脱して「英語で考える」力を身に付けていく第一歩なのかもしれませんね。


