2006年01月28日

婉曲的な英語

生徒さんが「1月23日放送の『英語でしゃべらナイト』(NHK)に秘書と一緒に出演しているので是非見てください!」というので母に頼んで録画してもらい、昨日やっと見ることができました。(なんせ今テレビがない生活を送っているもので)

品川での公開収録で、品川エリアに勤務している、英語を日常的に使っているOLさんが3人参加しているセクションがあったのですが、何とその番組を教えてくれた生徒さんの秘書が3人のうちの一人だったのです。

様々な英語のシチュエーションの中で「あなたなら何と言って対処しますか?」というロールプレイ形式の出題でなかなか楽しいものだったのですが、OLさんに続いてゲストのMEGUMIさんとレギュラーの釈由美子さんも「上司の鼻毛が出ているのにどうやって注意を喚起するか」という問題に挑戦していました。

そのときの釈さんの応対がなかなかだな、と思いました。
パックン扮する上司に「鏡を見たらどうですか?ほらどうぞ」と鏡を無理やり押し付ける、という遠まわしの方法だったのですが(英語もそれなりにちゃんとしていました)、それでパックンがちゃんと気が付いた演技をしたため、絶対A評価だと思いました。

しかし、採点をしていた外国人の「先生」役の方は「A」と「B」を両方手に取った上で「個人的な問題ですが英語ではもっとダイレクトに言わないと」なんて講釈していたのです。
これにはすっかり呆れてしまいました。

確かにビジネスの場面において例えば「考えておきます」で相手に "No" である旨を汲み取ってもらおうというのは考えが甘いです。しかし個人的(personal)な問題においては相手の心を傷つけないために婉曲的(indirect)な表現を使おう、というのは日本語の場合とさして変わりません。
また「英語ならダイレクトな表現を」というのはあまりにも短絡的ですね。同じ英語圏でも例えば日本と同様に島国であるイギリスであれば直接的な表現よりもむしろ婉曲的なものが好まれます。『ブリジット・ジョーンズの日記〜キレそうな私の12ヶ月』でも化粧を失敗してしまったブリジットを見たマークは「化粧室に行った方が良いと思うよ」としか言いません。

さらにアメリカにおいてはいわゆる「社会階層」(class)によって違いが出てくるみたいです。すなわちワーキング・クラスにおいてはみんな本音をぶちまけてダイレクトに話すのですが、中流以上になると体面(face)を重んじるようになり、遠まわしな言い方やボディー・ランゲージ等の非言語的コミュニケーションに頼る比率が高まるみたいです。
(以前NYTの特集記事で、努力して中流まで這い上がった人が一番戸惑うのがいわゆる polite society では日本語同様、言葉では "Yes" と言っておきながら本音は "No" である場合が十分ありうるためである、と書いてありました)

再び映画の話題で恐縮なのですが、私が好きなデミ・ムーアとトム・ハンクス主演の『ア・フュー・グッド・メン』に以下のようなやりとりがあります。

WEST: " Joanne, why don't you get yourself a cup of coffee."
JO: "Thank you, sir, I'm fine."

ウェスト(ジョアンの上官):「ジョアン(デミ・ムーアの役)、君、コーヒーでも飲みに行ったらどうだ」
ジョアン:「私は結構です」


ここで上官は「気が利かない奴だな」という表情で

WEST: "Joanne, I'd like you to leave the room so we can talk about you behind your back."

「ジョアン、我々が存分に君の陰口をたたけるように席を外してくれないか」


と言うのです。
これは彼女がトム・ハンクス扮する親の代から軍の弁護士を務めてきたエリート家系とは明らかに育ちが違うことを印象付けるためだな、と思いました。

くどいようですが、たとえ英語であってもあるレベルにおいては婉曲的表現(euphemism)も非常に重要でありますし、「察する」(take a hint)という技術も必要になってきます。なので「これを直接言ったら相手が傷つくかもしれない」と思ったときには、絶対に釈さん路線が正統派だと思います。それで気づかないような鈍い(obtuse)人であったときに初めて直接的な表現を繰り出せばいいのです。

なお、婉曲的な表現が必要な場面の代表例は「死」や「失業」。
小学三年生のときに祖父が亡くなり、葬式のために日本に一時帰国する、と先生に報告したとき "My grandfather died," と私が言ったのに対し、担任の先生に「その場合には "died" ではなく、"passed away" と言いなさい」と注意されたのを未だに覚えています。

edgeofreason.jpg  afewgoodmen.jpg←(『24』でジャック・バウアー役をやっているキーファー・サザーランドも出ています!)
posted by EnglishMaster at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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