2006年01月05日

否定疑問文の答え方

正月休みが明けたばかりなので、生徒さんにはレベルに係らずどのように正月を過ごしたのか、初詣をしたり御節料理を食べたりしたのかを訊くようにしています。
自国特有の文化について語ることが出来るのは大事ですからね。

さて、昨日教えた生徒さんですが、女性の方で、私が毎年母に田作り(英語で解説するならさしずめ seared and caramelized baby sardines になるのでしょうか)を担当させられているという話で盛り上がったので、「何か自分でも御節を作ったのですか」と尋ねたところ、「伯母(叔母かもしれませんが)が毎年作っています」と言われました。

しかし、一人で全部作るのはやっぱり大変なので、"Doesn't she ask you to help her?"
(手伝って、とは言われないのですか?)と訊いてみました。すると彼女は笑顔で 頷きながら"Yes" と答えたのです。

さて、ここで英語で Yes と答えると、「手伝って、と言われる」という意味になります。
そこで、やはり何か手伝ったんだな、と思いながら "What does she ask you to make?"
と尋ねると、途端に怪訝な顔をされて、伯母には彼女なりのやり方があるので、手助けは一切拒んで一人で全部作っている、と説明されました。

ああ、彼女は日本語的な感覚で、否定疑問文(negative question)に対して「はい、言われません」という意味で Yes と言ったのだな、とここで初めて気づきました。

英語を話す人は、「はい、要りません」のように一つの文の前半で肯定的な言葉を、後半で否定的な言葉を使うことは自己矛盾と考え、非常に嫌がります。
そのため、答えが肯定文なら冒頭は Yes、答えが否定文なら冒頭は No、という使い分けがなされています。

つまり、
"Aren't you tired?" と聞かれようが、
"Are you tired?" と聞かれようが、
疲れていれば→ "Yes, I am."
疲れていなければ→ "No, I'm not."
と答えが統一されるのです。さらに、首を縦に振るか、横に振るかもこの Yes No によって左右されてしまうのです。

よく外国人が「日本人は YesNo のどっちを言いたいのか分からない」とか「答えが Yes だと思ったら実は No と言いたかったらしい」と不満を言うことがありますが、この否定疑問文の答え方でのすれ違いもその一因となっているのでしょう。

まあ、日本語のように相手に同意するかどうかという主観的(subjective)な問題ではなく、答え自体が肯定的であるか否定的であるという客観的(objective)なレベルで処理している、と考えれば良いのでしょうね。

もっとも、けんかなど感情が支配する場面においては英語スピーカーもしばしば混乱に陥ります。否定疑問文で相手にすごい剣幕で「〜ではないの?!」と言われると、本当は答えの内容が肯定的なものなのに、相手の追求そのものを否定したいがために一旦 "No!" と言ってしまい、まずいと気づいて "I mean yes!" と言い直すことがありますね。言うまでも無く、このような混乱に陥った側は大抵その時点で負けですが...

さて、英語的な思考パターンに慣れてしまうと、逆に日本語での否定疑問文に対する答え方が分からなくなってしまって、一瞬と惑ってしまうことがよくあります。
例えば美容院でクロスを留めてもらうときに、必ず「首周りはきつくありませんか?」とか「お湯は熱すぎませんか?」と訊かれますが、私はそのような時はいつも首を横に振りたい衝動を必死に抑えて「はい」と答えているような気がします。

ちなみに、なぜか私の家では日本語の否定疑問文にも英語ルールが適用されています。
例えば父に「お父さん、お茶のお代わりは要らないの?」と聞くと、父はお茶が欲しい場合には頷いて「ああ、お願い」と答え、お茶が要らない場合には首を横に振って「いや、いい」と答えます。
父も母も別にずば抜けて流暢というわけではないのですが、アメリカで生活をし、ビジネスをやっていく上ではどうしても身に付けなければいけない技だったのかもしれません。

皆さんもお腹一杯の状態で「お代わりは要らないの?」と聞かれて首を横に振ることができたら、本物の英語が身に付いている証と考えて良いのでは?
posted by EnglishMaster at 23:53| Comment(0) | TrackBack(1) | 文法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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否定疑問
Excerpt: 英語における会話の中で、アジア系、スラブ系(ロシア、ウクライナ、ポーランド、スロベニア、チェコなど)の人と話すときに、よく、確認のために聞き直さなければいけない状況がある。 「否定疑問文」である。..
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