しかし、今回は日本語ではなく、英語の字幕での間違いです。
出典はシーズンIVの第9話(16:00〜17:00)で、ジャックが洗濯物用シュートから病院の洗濯室に侵入する準備をしている場面です。
彼は、部下に向かって
"I need a fast line and a rappelling harness."
(しっかりしたロープと降下用のハーネスを用意してくれ)
と言うのですが、なぜか英語字幕は
"I need a fast line and a repelling harness."
になっているのです。
思わず一時停止ボタンを押してしまいました。
"to rappel" は登山等で言う懸垂下降(辞書によるとアブザイレンとも言うらしいのですが、詳しくはよく分かりません)を指します。この場面のようにロープで吊るした状態で誰かを下ろすためのハーネス(ベルト)はまさに "rappelling harness" となるのでしょう。
一方、"to repel" は「追い払う」や「寄せ付けない」等の意味を持っています(リーダーズ大英和辞典参照)。例えばハイキングやキャンプなどのときに使う虫除けスプレーは "insect repellant" と言います。
"repelling harness" とは一体どんなものなんだろう、身に付けたとたんに使っている人をはじき出すものなのかな、と一瞬想像してしまいました。
もちろん、これは打ち間違いだろう、ということはすぐに分かりました。
("repelling" もれっきとした英語であるため、スペルチェックには引っかからなかったのでしょう)
問題は、これが指が滑ったことによるミスプリ(typo)にあたるのか、それとも字幕を書き出した人が本当に勘違いして"repelling" にしたのか、という点です。
私は、どちらかといえば後者であるような気がします。
まず、"rappel" と"repel" では最初の母音が違うだけでなく、"p"の数も違います。指が一度滑るのはうなずけるとしても(事実、このような間違いは大手新聞でもよく見かけます)二度続けて「滑る」のはあまりにも不自然です。
また、この二つの言葉は発音も非常に似ています。"repel" は [ripél]、"rappel"は[rəpél]であり、人によっては全く同じく発音することも考えられます。そして、このような綴りと発音が似ている言葉の混同はネイティブ・スピーカーがよく犯す間違いの部類に入ります。
(Google で検索をかけてみたところ、"rappelling harness" は557件、"repelling harness" は 1,610件とそれを上回る検索結果が出てきた上、両方を併記しているページも20件ありました。後者は明らかにおかしいのに (;_;))
ちなみに、日本語字幕ではたしか「ロープとベルトの用意を」と分かりにくい部分は省いて簡潔・的確に訳していたような気がします。
さて、このドラマ、エンターテインメントとしては抜群の出来なのですが、回を追うごとに気になることがあります。
それはジャックをはじめとするCTUの面々が
"It's a matter of national security," (国家保安に係わることだ)
と言えば家宅侵入、拷問、強盗の真似事に至るまで何をしても許される超法的な存在である、という設定です。
これではまるで国家の警察権を強化する「米国愛国者法」(USA Patriot Act)を可決させ、グアンタナモ基地に拘束されている人々の人権を平気で制約しているブッシュ政権の方針をPRしているのと同じではないのでしょうか。
←"repelling harness" として紹介されていた商品です

