2007年11月06日

The "Native" Myth

新しい記事をアップしないまま、早2ヶ月が過ぎてしまい、読者の皆様には本当に申し訳ありません m(_ _)m
こちらも書きたいトピックのリストが長くなる一方だったので、思い切って昼休み中に記事を書いてしまいました。
ゆえに結構雑な内容になってしまっている点は、どうか多めに見てください。

さて、最近破綻したNOVAをはじめ、多くの英会話スクールが拠りどころとしている「ネイティブ信仰」(もっともNOVAの場合はどちらかというと「外国人信仰」に近かったのですが)、言い換えれば、「どのような人であれ、ネイティブの言うことなら間違いない」という「神話」ですが、私は勝手に日本人特有のものであると考えていたところ、どうやらそうでもないらしいですね。

10月から、私が勤めている事務所で英国の名門大学で日本語を勉強している学生をインターンとして迎えることとなり、私が(同じ部屋ということもあり)世話役になりました。

彼が来た初日、大学では2年生で古語も勉強して、『方丈記』も読んだ、という話をされたため、「ああ、『ゆく川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたることなし』ですね」と私から言うと、彼は目を丸くして「日本人はみんなそれを知っているのですか?」と聞いてきました。

そんなはずないですよね (^^; 私もたまたま言葉の響きが好きでこの冒頭の一節のみ覚えていたに過ぎません。
一瞬「もちろんですよ」と言おうかと思ったのですが、幻想を抱かせるのもまずいな、と考え直し「イギリス人は誰でもシェークスピアをすらすらと引用できますか?」と聞き返しました。それで彼は納得したようでした。

また、面談の内容をおこしたファイルを訳していたときのことです。彼に一部につきドラフトの訳を作ってもらうという形で手伝っていただいていたのですが(もちろん、その後私が色々直しましたが)、「なぜここは理由付けを述べているのに『からである』のような結びになっていないのでしょう」と聞かれてしまいました。

これに対しては「実はこの文の終わり方は少しおかしいけど、こういうのは良くあることよ。別に真似をすることはないから」と言うしかありませんでしたね。すると彼は「日本人でもおかしい日本語を使う人がいるんですか」と聞いてきたのです。当たり前です。私でも時々果たして自分の日本語が正しいのか、不安になるときがあります。「イギリス人でも仮定法を使わない、もしくは使えない人もいるでしょう」と答えました。

で、これで「日本人の日本語力」というものに対する幻想を完全に破壊してしまったのか、と思っていたのですが...

先日、彼が日本語のレッスンの準備のためにライブラリから日経新聞を借りて、机の上においていたときのことです。経理担当の事務員がそれを見て、「日経を読んでいるなんて、すごいですね。難しすぎて私にはとても読めません」なんて言っていました。すると彼は怪訝な顔をして「日本人でも日経を読めないんですか」と聞いてくるではありませんか。これも「イギリス人は誰でもファイナンシャル・タイムズを読めますか」と聞返して、はじめて「ああ、確かに誰でも読むものではありませんね」と納得したようでした。
(もっとも、日経はここ数年、女性購読者獲得のために女性向けの内容を増やしたり、お洒落なCMを展開したりもしていますが)


母国語に置き換えれば、「誰でも人に教えられる水準の言葉を話すわけではない」ということが一目瞭然です。なのになぜ、英会話学校で英語力の試験さえも受けていない先生が、ネイティブであるという理由だけで堂々と英語を教えることができるのでしょうか。

以前勤めていたスクールでは面接だけでなく、採用時にアンケートと称して長々とエッセイを書かされ、実際に「断られちまったよ」という人にも会ったことがあります。しかし、その前に教えていた昨年倒産したスクールでは、作文さえろくにできない先生もいました。(その一方ではニューヨークの弁護士資格を持っている人や、ジョンズ・ホプキンズ大学大学院で東洋研究の修士を目指しているすごい人もいましたが。)英語力の確認のなかったNOVA(知人情報)も、緑の看板の学校(私自身の経験。簡単な集団面接のみで採用されてしまいました)も、そのようなバラつきの大きい状態であることが容易に想像できます。

ネイティブなら誰でも正しく美しい英語を話すというわけではない。逆にノン・ネイティブでもネイティブから尊敬されるような英語を話すことができる。

この「英語」を「日本語」に置き換えるだけで、実は当たり前のことを言っているに過ぎないということが良く分かると思います。

皆さんも先生を選ぶときに覚えておいてくださいね。
posted by EnglishMaster at 12:34| Comment(3) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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