2007年04月15日

目は口ほどに

ものを言う、とは日本語の表現にもありますよね。

先日、これを実感しました。

とても真面目な生徒さんを教えたのです。

復習をしっかりやっているらしく、一度やった内容はしっかりおさえてあります。一つ質問をすると、(レベル1であるにも拘らず!)すらすらといくつもの文を並べた長い答えを返してきてくれます。

「次回は会社の組織について話しますからね。会社に英語で書かれた組織表みたいなものがあれば、持って来られると良いですよ」と言うと、次の日(たまたままた私が当たったのですが)ノートに会社の各部門とそれぞれの英訳がびっしりと書き込まれたのを見せてくれました。

ところがこの方、スピーキングはかなり力がついているにも拘らず、リスニングがそれほど得意ではないのです。
CDでのリスニングは、まあそのレベルを考えれば平均的なのですが、スピーキング力を考えるとちょっとバランスが悪いくらい。
それよりも、実際の会話において、良く聞き間違いをし、前述の長い答えも頓珍漢であることが多いのです。

なぜこんなにしゃべれるのに、聞き取れないんだろう、と考えていたら、その方が極端にアイコンタクトが少ないことが原因であるような気がしました。

本当に目が合わなかったのです。
私が話しているときも、彼自身が話しているときも、下を向いているか、明後日の方を見ているか、どちらかでした。
(左上の方ばかり見ていた、ということは視覚情報を思い出そうとしていた、ということでしょうか。頭の中で作文し、そこに表示されたものを読み上げる、というやり方を取っていたのかもしれません)

こちらとしては非常にやりにくかったです。
まず、顔をしっかり見てもらえない、というのは何となく落ち着かないですね。
そしてそれより、私が目や表情で訴えている情報に全く気付いてくれなかったのです。

例えば、私は間違いを訂正するときに、すぐに否定的なコメントを出すのは控えるようにしています。眉を軽くしかめたり、首をちょっと傾げたりして、自分で間違いに気付き、訂正するのを待ちます。多くの生徒さんの場合、それで十分であるため、私は褒めさえすれば良く、非常に楽なのです。
しかし、彼はそれに全く気付いてくれず、こちらからわざわざ「それは、○○ね」と一々言わなければなりませんでした。

思えば、全くの初心者でも習得しようとしている言語しか使わずに教える、というダイレクト・メソッドがちゃんと機能するのは、このような非言語コミュニケーションをフル活用するからなのでしょうね。
相手の目を通じて心を読むことによって、たとえ片言でもコミュニケーションが成立し、次のステップへと進めるのです。
(一時期テレパシーに凝りましたが、すべての人に通用するわけではないのと、あまりにも強引な気がしたのとで、やめてしまいました)

この生徒さんのような場合、一生懸命努力されているためなおさら、アイコンタクトなどのコトバ以外の情報が読み取れていないのが惜しい気がしました。それがもう少しできればもっとコミュニケーションがスムーズに行くのに、と。

で、指摘すべきかどうかを迷っていたところ、ちょうどカウンセリング用のコメントを頼まれたので、迷わずそれも書きました。
目的が「仕事のため」、とあったからです。欧米人相手に、まっすぐ相手の目を見て話すことができなければ、信用できない、と思われてしまいます。

そして、実際にカウンセリングを担当されたスタッフの人によると「日本語で話しているときも全然目が合わなかったですね。とってもシャイなのでしょう。でも本人も自覚はしている、と言っていましたよ」とのことでした。
一応、「相手の目を見るのが苦手なら、両目と口を結んだ三角形の中のどこかを見るようにすれば良い、と伝えてください」とは言っておいたのですが。


ちなみに、アイコンタクト、と言っても、むやみやたらと相手の目をじーっと見ていれば良い、というわけではありません。適度に外すことも重要です。そして、達成したい目的によってどこを集中的に見るかを変えるべきだそうです。

例えば、先に紹介した「両目と口を結んだ三角形」当たりに視線を集中させるのは、いわゆる "social gaze"(社交的な視線)として、相手に最も好感を持ってもらえる視線の使い方らしいです。
(これをあるレッスンで意識的に使ったところ、その生徒さんにリクエストされ、効果のほどを実感しました。それ以来、こわくなってあまり使っていません)

相手を圧倒したいなら、"power gaze" (威圧的な視線)というのもあります。相手の目と目の間を集中してみるのです。

そして、相手に対して異性としての好意を示したいなら、"sexual gaze" (性的な視線)があります。これは、両目から胸の下辺りまで、と視線を動かす範囲を広げます。
(これも面白半分で実験したところ、誤解されてしまったため、お蔵入りしています)

これらの話は、"The Definitive Book of Body Language"という本で読んだものなので、興味のある方は是非一読を。
ベストセラーだった『話を聞かない男、地図を読めない女』を執筆したピーズ夫妻によるものです。

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posted by EnglishMaster at 23:46| Comment(6) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする