2006年10月09日

Roads

先日、ニュースについて語る単元でリスニングをやっていたときのことです。

地震の被害について、「多くの橋と道路が破壊された」という内容のものだったのですが、なぜか生徒さんには最初 "bridges" しか聞き取れなかったのです。
「橋のほかにも被害があったから、もう一度聞いてみましょう」と言って、もう一回CDを再生すると、生徒さんの一人が、"Flower?" と聞いてきました。

何を頓珍漢なことを言っているのだろう、と思ったら、そのクラスの三人は見事全員 "roads" を "rose" と聞き間違えていたことが発覚したのです。

両者をホワイトボードに書き出して、母音は同じだけど
rose は最後が [z]
roads は最後が [ʤ]
ですよ、と指摘すると、「違いが分からない」とのこと。

そこで、後者は一旦舌が口蓋に触れること、前者では触れないことを説明し、ついでに日本語では前者が「ズ」、後者が「ヅ」に大体該当することも説明しました。

すると、「日本語でそんな区別をしていない」と言われてしまいました。

ちょっと返す言葉に困ってしまいましたね。

確かに、英語をカタカナ語に直すとき、現代日本語は無頓着であるような気がします。
例えば、「橋」に当たる bridge は「ブリッジ」になっています。「ブリッヂ」と書こうものなら、なんとなく明治時代の遺物のような感じさえしてしまいます。
また、しばらく巨人の助っ人として活躍していた Tuffy Rhodes も、この理論で行けば「ローヅ」ではないとおかしいのに、「ローズ」で通っていましたよね。

やはり「ズ」と「ヅ」、「ジ」と「ヂ」の区別を意識している人は減っている、ということでしょうか。

その点、旧仮名遣いの小説(特に横文字が好きな芥川龍之介)などを読むと、明治・大正時代の人の方が日本語の発音が正確で、英語も発音記号からきちんと勉強していたような印象を受けます。

というわけで、まず日本語の発音の段階から差をしっかり押さえておけば、様々な子音の使い分けでそれほど苦労せずに済むような気もするのですが、どうなのでしょう。



余談ですが、この roads の議論に入ってからなぜか私の頭の中では、"Back to the Future: Part II" の中の以下の台詞がぐるぐると回ってしまいました。

"Roads? Where we're going, we don't need...roads."

無性にまたこの映画を観たくなってしまいました。

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posted by EnglishMaster at 20:56| Comment(5) | TrackBack(0) | 発音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

On the Air

大分長い間サボってしまいましたが、今日は久々に字幕ネタです。

最近は良い字幕ばかり見ていたので(特に先月紹介した Queer Eye は素晴らしいです!"Daddy" をちゃんと「パトロン」と訳していました!)あまり揚げ足を取る機会がなかったのですが、まだまだドラマの字幕は完璧とは行かないみたいです。

出典は、FOX Japan で毎週月曜9時放送の新番組、"Pepper Dennis" (邦題『ペッパー・恋するアンカーウーマン』)です。
http://www.foxjapan.com/tv/bangumi/pepper/index.html

「『アリー』のニュースキャスター版」という宣伝文句に引かれ、先週初回を録画して観たのですが、かなり字幕が怪しかったです。

まず、バーでの台詞で "This place is packed," が「込んでる」となっていました。「混んでる」の間違いではないか、と突っ込みを入れたくなりました。
その後、国語辞典で調べて、「込んでる」でも決して間違いではなく、むしろ「混んでる」の方が常用外であることを発見したのですが、少なくとも観ている時点では私の不信感をあおるのに十分でした。

続いて、主人公の上司が主人公に向かって新しいキャスターがカナダ人であり、カナダ人はやはり人気があることを伝えるために言うのが"It must be their plastic faces," という台詞です。

このような用法はあまり聞いたことが無いのですが、この字幕にあった「表情が穏やかだ」という訳ではちょっと飛躍しすぎであるような気がします。
"plastic" の性質から考えれば、柔らかくて形成しやすい、もしくは人工的、という性質が思い浮かびます。ということは、形容詞として使った場合にも、これらの性質と関連性がある解釈で無ければなりません。実際に工学や生物学などの分野で"plasticity" という名詞を目にしたことがありますが、それは「可塑性」や「適応性」を意味します。
そして、プラスチックが決して高級な素材ではないことより、それを形容詞的に用いた場合には中立的なニュアンスにはなりうるとはいえ、褒め言葉にはならないような気がします。

以上より、「プラスチック」⇒「穏やか」と結びつけてしまうのには少々無理があるように感じられます。

どちらかと言えば「柔軟な表情」もしくは「ポーカーフェイス」にした方がしっくりくるのではないでしょうか。
(引き合いに出された故ピーター・ジェニングスの顔を想像するとなおさらです)

でも、明らかにおかしいと思ったのは、主人公が中継中に誤って法オス禁止用語を使ってしまった後の台詞でした。
彼女は相手役のキャスターが彼女の本名を放送中に使ったことに激怒し、"Who the f*** told you my real name???" と言ってしまいます。
その後、息苦しそうに口をパクパクさせながら、
"Did I just.... the air?"
と言うのです。

さて、この欠けている台詞を補うとすれば、多分
"Did I just say the F word on the air?"
になるのかと思うのですが、字幕は
「すみません  呼吸が」
になっていました。

もし呼吸する空気が問題となっていれば、"the" は不要で、"I need air," のような台詞になるでしょう。ここであえて "the air" と言っていたことより、彼女が放送媒体としての "air" を指していたことは明らかだったと思います。

オリジナルの台詞を全く聞き取れていなければ違和感を感じないのかもしれませんが、話の前後のつながりを全く無視しているとしか思えません。
放送禁止用語を使ったことが明らかだったのですから、素直に
「私今...放送中に...」
にしてしまったほうがはるかに良かったと思います。

さて、番組そのものの感想ですが、『アリー』以上にドタバタ喜劇的(slapstick)な要素が多くて、funny ではあるが、interesting ではないな、というのが正直な感想です。
特に台詞が気が利いているわけでもないので、あまり教材として勧める気にもなりません。

でも、字幕の間違い探しをするためには格好の材料かも...

あと、もし巨乳の金髪美人が好みなら必見かもしれません (^^)
posted by EnglishMaster at 17:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする