2006年10月26日

Multilingual

久々にジョークを一つ。

これは、レベル1の初級者でも必ず笑ってもらえます。

(それは、イラスト集に登場するマルチリンガルな人々を題材にして、ひたすら Does she speak French? Does he speak French well? What languages do they speak? という練習を延々と繰り返した後だからかもしれませんが)

If you speak two languages, you're bilingual.
If you speak three languages, you're trilingual.
If you speak one language... you're American!

要するに、アメリカ人(ちなみにこのジョークにはイギリス人バージョンとオーストラリア人バージョンもあります)だと、世界中の人々が英語を勉強してくれているので、必死に外国語を勉強する必要がなく、そのような努力をしている人も少ない、ということです。
自分たちの価値観がどこでも通用する、と勘違いしているアメリカ人が多い事実を揶揄している部分もあるのですが...


アメリカ人が英語を話せるのは当たり前です。
自信がない初心者の人はそれを忘れがちです。

でもまだまだ覚束ない状況にあっても、英語を学ぼうという姿勢を持っている人は母国語だけで満足している人よりもはるかにすごいよ。
このジョークを口にするときは、そんな心を伝えたいと思っています。
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2006年10月21日

英訳を前提?

一応「読書感想文」として分類してありますが、前回の続きのようなものです。

原書を読めるなら翻訳を読む必要はない、と思われる方も多いでしょう。

でも、私は翻訳を読むのが決して嫌いではありません。
それも、あまり意訳しすぎていないような、SF小説の翻訳(原書で手に入りにくい、という事情も影響していますが)などが結構好きです。

何が良いか、と言うと、翻訳された文章を読んでいると、時々日本語の訳文を読みながらフッと「あ、原書ではこういう表現を使っていたのだろうな」と英語の表現が頭に浮かぶのです。

翻訳ではないにも関わらず、同じ効果があるのが村上春樹の文章です。
彼の小説も、日本語で書かれているにも関わらず、読みながら頭が勝手に英訳してしまうのです。それどころか、ところどころにカタカナ語での言葉遊びさえあって、「これは英訳されることを前提にしているのだろうか」と思ってしまうことがあります。

これは彼自身、翻訳も手がけている経験が影響している、と言われていますね。

とにかく、動詞が多く、各々の動詞に対する主語が明確であることが多いのです。
前回指摘したような、SとV中心の文の構造が、日本語で体現されているのです。

実は、英作文を添削するとき、日本語から直訳しているかどうかの一種のメルクマールになるのが、主語に対する動詞の数なのです。
動詞が極端に少なければ、一目で「これは日本語で推敲したんだろうな」ということが分かります。
でも、村上春樹の文章であれば、どんな初心者が訳してもナチュラルな英語になりうるでしょう。

英訳をしながら勉強したい、というのであれば、こういう文章を題材にするのが一番かもしれません。


ちなみに、先日、村上春樹が大好きだ、という日本語がぺらぺらの同僚と話をしていたところ、彼は面白いことを言いました。

「村上の小説を読んでいると、彼が本当に日本人なのかどうかを疑いたくなってしまうね。だって、音楽をはじめ、小説の中で話題になるのは日本の文化よりも西洋の文化の話ばかりではないか」

確かに、彼の小説の主人公はジャズやクラシック(ポップスでも洋楽)ばかり聴き、作る食事(主人公は男なのに、なぜかいつも料理が上手いという前提になっている)もパン食中心、飲むお酒も洋酒ばかりですね。

その同僚に対しては「私の父だって、オペラには詳しいけど、能や歌舞伎は全く分からないよ」と反論したものの、やはりこういう現象は外国人から見ると「日本人らしくない」と映ってしまうのか、と考えてしまいましたね。

kafka1.jpg   kafka2.jpg
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2006年10月15日

SとVの言語

今日の夕食は脂がたっぷりとのった秋刀魚でした。

「秋はやっぱり秋刀魚だ」と思いません?

でも、この一文を英語に直そうと思った途端、途方に暮れてしまいました。主語も動詞もないからです。(ここで「秋」は主語ではなく、主題であるとみなしているため)

日本語にはそういう文が多い、ということに新たに気付かされたのは、Wikipediaで以下の記事を発見したときです。
Topic-prominent language
(日本語版もあります)
主題優勢言語

この記事を読んで、はじめて「は」の前の言葉が必ずしも英語的な意味での「主語」であるとは限らない(少なくともそう解釈する説がある)ことを知り、ショックでした。

と同時に、日ごろ耳にするちょっと不自然な英語の諸悪の根源はこれか、と目から鱗でしたね。

たとえば、厳密には

「私は美しい」(主語とみなせる)→ I am beautiful.
「私はビールだ」(話題語に過ぎない)→ As for me, [I'll have] beer.
(cf. I am beer, は英語では論理的に不可能)

つまり日本語は基本的に主題と述語の関係にあり、二つ目の文のように英語でいうSもVもなくても余裕で文を作れてしまうのです。
だから日本語で考えた内容をそのまま英語に直しても、ぎこちない文章になってしまうことが多いのでしょう。日本語の文の主語(もしくは主題)をそのまま英文の主語にしても、一文目のように上手くいくこともあれば、二文目のように必ずしも上手く行かないこともあるのはそのためです。

実は、これを考えると、『レストランは食べられる?』の項目で「あのレストランは美味しい」や「仕事が忙しい」の非論理性を糾弾したのは間違いだったのかもしれません。日本語の構造としては全然おかしくないのですから。
どうやら私は英語的基準を日本語に無理矢理当てはめてしまっていたみたいです。反省しています。


何はともあれ、やっぱり英作文をするなら、まっさらな状態で主語を何にするか、そして動詞を何にするかから考えなければなりません。
翻訳作業を中心とする勉強法に改めて限界を感じる今日この頃です。
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2006年10月09日

Roads

先日、ニュースについて語る単元でリスニングをやっていたときのことです。

地震の被害について、「多くの橋と道路が破壊された」という内容のものだったのですが、なぜか生徒さんには最初 "bridges" しか聞き取れなかったのです。
「橋のほかにも被害があったから、もう一度聞いてみましょう」と言って、もう一回CDを再生すると、生徒さんの一人が、"Flower?" と聞いてきました。

何を頓珍漢なことを言っているのだろう、と思ったら、そのクラスの三人は見事全員 "roads" を "rose" と聞き間違えていたことが発覚したのです。

両者をホワイトボードに書き出して、母音は同じだけど
rose は最後が [z]
roads は最後が [ʤ]
ですよ、と指摘すると、「違いが分からない」とのこと。

そこで、後者は一旦舌が口蓋に触れること、前者では触れないことを説明し、ついでに日本語では前者が「ズ」、後者が「ヅ」に大体該当することも説明しました。

すると、「日本語でそんな区別をしていない」と言われてしまいました。

ちょっと返す言葉に困ってしまいましたね。

確かに、英語をカタカナ語に直すとき、現代日本語は無頓着であるような気がします。
例えば、「橋」に当たる bridge は「ブリッジ」になっています。「ブリッヂ」と書こうものなら、なんとなく明治時代の遺物のような感じさえしてしまいます。
また、しばらく巨人の助っ人として活躍していた Tuffy Rhodes も、この理論で行けば「ローヅ」ではないとおかしいのに、「ローズ」で通っていましたよね。

やはり「ズ」と「ヅ」、「ジ」と「ヂ」の区別を意識している人は減っている、ということでしょうか。

その点、旧仮名遣いの小説(特に横文字が好きな芥川龍之介)などを読むと、明治・大正時代の人の方が日本語の発音が正確で、英語も発音記号からきちんと勉強していたような印象を受けます。

というわけで、まず日本語の発音の段階から差をしっかり押さえておけば、様々な子音の使い分けでそれほど苦労せずに済むような気もするのですが、どうなのでしょう。



余談ですが、この roads の議論に入ってからなぜか私の頭の中では、"Back to the Future: Part II" の中の以下の台詞がぐるぐると回ってしまいました。

"Roads? Where we're going, we don't need...roads."

無性にまたこの映画を観たくなってしまいました。

btfp2.jpg
posted by EnglishMaster at 20:56| Comment(5) | TrackBack(0) | 発音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

On the Air

大分長い間サボってしまいましたが、今日は久々に字幕ネタです。

最近は良い字幕ばかり見ていたので(特に先月紹介した Queer Eye は素晴らしいです!"Daddy" をちゃんと「パトロン」と訳していました!)あまり揚げ足を取る機会がなかったのですが、まだまだドラマの字幕は完璧とは行かないみたいです。

出典は、FOX Japan で毎週月曜9時放送の新番組、"Pepper Dennis" (邦題『ペッパー・恋するアンカーウーマン』)です。
http://www.foxjapan.com/tv/bangumi/pepper/index.html

「『アリー』のニュースキャスター版」という宣伝文句に引かれ、先週初回を録画して観たのですが、かなり字幕が怪しかったです。

まず、バーでの台詞で "This place is packed," が「込んでる」となっていました。「混んでる」の間違いではないか、と突っ込みを入れたくなりました。
その後、国語辞典で調べて、「込んでる」でも決して間違いではなく、むしろ「混んでる」の方が常用外であることを発見したのですが、少なくとも観ている時点では私の不信感をあおるのに十分でした。

続いて、主人公の上司が主人公に向かって新しいキャスターがカナダ人であり、カナダ人はやはり人気があることを伝えるために言うのが"It must be their plastic faces," という台詞です。

このような用法はあまり聞いたことが無いのですが、この字幕にあった「表情が穏やかだ」という訳ではちょっと飛躍しすぎであるような気がします。
"plastic" の性質から考えれば、柔らかくて形成しやすい、もしくは人工的、という性質が思い浮かびます。ということは、形容詞として使った場合にも、これらの性質と関連性がある解釈で無ければなりません。実際に工学や生物学などの分野で"plasticity" という名詞を目にしたことがありますが、それは「可塑性」や「適応性」を意味します。
そして、プラスチックが決して高級な素材ではないことより、それを形容詞的に用いた場合には中立的なニュアンスにはなりうるとはいえ、褒め言葉にはならないような気がします。

以上より、「プラスチック」⇒「穏やか」と結びつけてしまうのには少々無理があるように感じられます。

どちらかと言えば「柔軟な表情」もしくは「ポーカーフェイス」にした方がしっくりくるのではないでしょうか。
(引き合いに出された故ピーター・ジェニングスの顔を想像するとなおさらです)

でも、明らかにおかしいと思ったのは、主人公が中継中に誤って法オス禁止用語を使ってしまった後の台詞でした。
彼女は相手役のキャスターが彼女の本名を放送中に使ったことに激怒し、"Who the f*** told you my real name???" と言ってしまいます。
その後、息苦しそうに口をパクパクさせながら、
"Did I just.... the air?"
と言うのです。

さて、この欠けている台詞を補うとすれば、多分
"Did I just say the F word on the air?"
になるのかと思うのですが、字幕は
「すみません  呼吸が」
になっていました。

もし呼吸する空気が問題となっていれば、"the" は不要で、"I need air," のような台詞になるでしょう。ここであえて "the air" と言っていたことより、彼女が放送媒体としての "air" を指していたことは明らかだったと思います。

オリジナルの台詞を全く聞き取れていなければ違和感を感じないのかもしれませんが、話の前後のつながりを全く無視しているとしか思えません。
放送禁止用語を使ったことが明らかだったのですから、素直に
「私今...放送中に...」
にしてしまったほうがはるかに良かったと思います。

さて、番組そのものの感想ですが、『アリー』以上にドタバタ喜劇的(slapstick)な要素が多くて、funny ではあるが、interesting ではないな、というのが正直な感想です。
特に台詞が気が利いているわけでもないので、あまり教材として勧める気にもなりません。

でも、字幕の間違い探しをするためには格好の材料かも...

あと、もし巨乳の金髪美人が好みなら必見かもしれません (^^)
posted by EnglishMaster at 17:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする