2006年07月26日

足りない、という感覚

現在主催しているある掲示板で、なぜ

Whom did you give the book?

がいけないのか、という質問に対し、私は「最初の "to" が無いと物足りない」と解答しました。

実はこれは質問を発した方の意図を全く汲み取れていなかったのですが、色々なことを考えるきっかけになりました。

そして、別な方から
英語学習者にとっては to をつけないといけないという必要。

一方、ネイティブにとっては「足りない」という感覚。

似ているようで、大きな違いがあるなあ。

学習者に英語を教えるときは、「つけないといけない」から「足らない」への架け橋が必要なんだな。

という貴重なコメントも頂きました。

ちょうどそのとき、"To-Do List" を題材にしたレッスンで面白い体験をしました。

"To-Do List" とは、やらなければならないことを一覧にまとめた備忘録みたいなものであり、もちろんこれを完全な文で書くネイティブ・スピーカーはいません。
大抵、主語は不要。冠詞も不要。「スーツを取りに行く」であれば、普通は「自分の」スーツであるため、"my" のような所有格も不要。
ということで、本人さえ分かれば済むようなフレーズで構成されるのがほとんどです。

そして、その日のお題は、このフレーズだけを見て、"I have to..." という完全な文を作る、というアクティビティーでした。

ところが、その日はなぜか、教科書に載っている見本のリストを眺めていたときに、よくよく見ると、時々(句動詞を構成しない、すなわち不要な)前置詞が入ったりしていて、なんとなく一貫性が欠けていることに気付いたのです。

そこで、「このリストは生ぬるい!」と糾弾し、「本物のネイティブは、冠詞も、所有格も、必要がなければ前置詞も、一切省いてリストを作成してしまうものです」(人によりけりなので、厳密には嘘ですが)「というわけで、皆さんには冠詞なし、所有格なし、前置詞はできる限りなしのリストを作っていただきます」と言い、自分のリストとして以下のような項目を板書しました。

・clean room
・e-mail Ben
・book Kyoto hotel

すると、あら不思議。

いつもは結構前置詞や冠詞があやふやで、こちらが訂正してばっかりの生徒さんが、

"You have to clean your room."
"You have to send an e-mail to Ben."
"You have to book a hotel in Kyoto."

と、なんと完璧な文を作文してしまうではないですか。

特に面白かったのは2番目の項目。
本当は

"You have to e-mail Ben."

でも完成する文なのに、(少なくとも私はそのような意図でその項目を用意しました)ご丁寧に動詞と冠詞と前置詞をくっつけてくれたのですね。

"e-mail Ben" では何かが足りないに決まっている、とでも感じたのでしょうか。

しかもオリジナルの、中途半端に冠詞が省いてあるリストを題材にしたときとは、答えるときの自信が全然違ったように感じました。
あの程度では、「何かが足りない」とは思えなかったのかもしれません。

正直、自分から「足りない」と感じるとここまでも違うのか、と思うと、衝撃でした。
このようなアプローチがレッスンでも使えるかどうかは考え中ですが、また何らかの形で試してみたいと思います。
posted by EnglishMaster at 00:21| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする