2006年07月07日

誰も使わない表現

大分時間が空いてしまいましたが、前回の続きのようなものです。

先日、同僚と話していたとき、彼はとある英和・和英辞典を非難して「あんなのは時代遅れな、ネイティブ・スピーカーなら誰も使わない表現だらけだ」と言っていました。

そのとき、私は思わず「待って」と言ってしまいました。「誰も使わないと言っても、あなたは世界中のネイティブ・スピーカー全員と会話して確認したわけではないでしょう?一人でも使う人がいれば『誰も使っていない』なんて言えないはずよ」

すると彼はさすがにそれで「しまった!」という顔をして、「いや、今のは口が滑っただけで、いつもはなるべく『僕は使わない』と言うようにしているよ」と決まりが悪そうに反論してきましたが、どうなんでしょうね。結構平気で「誰も使わない」と連発しているネイティブの先生は多いように思えます。

しかも説得力があるから恐ろしいですね。以前、生徒さんに「ずっと前に社内研修のネイティブの先生に今では誰も"delicious" という言葉は使わないから "tastes good" と言うべきだと言われたけど本当か」と聞かれて絶句した覚えがあります。

それは極端な例にせよ、少なくとも数学や論理学を多少なりともかじったことがある人ならば、絶対に「誰も使わない」とは言うべきではないと思います。

きっぱりと言いきれるのは、あくまでも
1.文法的に正しく、意味が伝わるかどうか
2.自分が使うかどうか
の2点に過ぎませんね。

たまに「これは正しいですか?」と「あなたは実際使っていますか?」という質問をしてくる方がいらっしゃいますが、このような方は意識的にか無意識的にか、きちんとそこらへんを弁えておられるような気がします。

だから、私は生徒さんに "I beg your pardon?" と聞き返されたり、"whom" を正しく用いた質問をされても「その表現は平均的なアメリカ人なら使いません」とわざわざ指摘するようなことはしません。文法的に間違っていませんし、正しく使えれば "How do you do?" 同様、(少なくとも教養のある相手であれば)好印象を与えることが出来るからです。

皆さんも、決して「誰も使わない」という表現には騙されないように、注意してくださいね。
posted by EnglishMaster at 22:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする